[近傍電磁界ばく露に関連した電力密度と6-100 GHzの安全ガイドラインとの定量的比較] tech./dosim.

Quantitative Comparison of Power Densities Related to Electromagnetic Near-Field Exposures with Safety Guidelines from 6 to 100 GHz

掲載誌: IEEE Access 2021; 9: 115801-115812

この論文の著者らは、6-100 GHzの周波数の近傍電磁界への局所ばく露に対する空間的平均電力密度(sIPD)の様々な定義の違いについて、定量的分析を実施している。複素ポインチングベクトルの空間的平均係数(sIPDmod)と、複素ポインチングベクトルの実数部の空間的平均化ノルム(sIPDnorm)を、数値アプローチを用いて比較し、皮膚組織に対する空間的平均吸収電力密度(sAPD)および局所ピーク温度上昇との関連を分析した。その結果、高周波RF)安全ガイドラインにおける参考レベルに適用可能な条件の大まかなガイドに用いられる、リアクティブ近傍界の一般的な境界の外側(即ち> λ/(2π))、但し最大でも波源から10 mmでは、sIPDnormとsIPDmodの差の最大値は、6-100 GHzで0.7 dB未満であった。RF安全ガイドラインで推奨されている適切な条件では、sIPDに対するsAPDの比率と、平面波法線入射の場合の比率の差は、sIPDnormおよびsIPDmodについて、それぞれ最大で1.4 dBおよび0.9 dBであった。同じ条件下で、比較的小さいアンテナ(合計寸法が2λ未満)についてのsIPDに対する温度上昇の比率は、平面波法線入射の場合を有意に超過せず、このことは、予想される温度上昇の最大値は、(RF安全ガイドラインに採用されている低減係数を用いて導出した温度上昇の面で)運用上の健康影響閾値から導出される温度上昇よりも低い、ということを意味する。これらの結果は、ヒトのばく露特性に対してsIPDの定義が及ぼす影響は、他の要因(即ち、アンテナの種類(サイズ)、周波数、波源からの距離、平均化面積)による影響と比べて有意ではないということを示唆するものである、と著者らは結論付けている。

ばく露