[10-90 GHzの異なるアンテナからのばく露に対する入射電力密度と温度上昇の計算値の相互比較] tech./dosim.

Intercomparison of Calculated Incident Power Density and Temperature Rise for Exposure from Different Antennas at 10–90 GHz

掲載誌: IEEE Access 2021; 9: 151654-151666

電磁界からの人体防護のための国際的なガイドラインおよび規格が最近改定された。6-300 GHzの周波数については、参考レベルとして入射電力密度が定義されているが、これは熱的なモデリングに基づく新たな尺度である「吸収上皮電力密度」から導出される。但し、6 GHz超の周波数については、電力密度とその結果として生じる温度上昇を計算したグループは少なく、そのばく露条件は異なる。この研究は、10-90 GHzの範囲の周波数にばく露された人体における、入射電力密度とその結果としての温度上昇についての相互比較を実施した。その目的は、6つの機関によるそれぞれの計算法と各種の人体およびアンテナモデルを用いた計算結果の客観的な比較を通じて、ドシメトリ分析における数値計算誤差の主な原因を明確にすることであった。その結果、ピーク空間平均化入射電力密度の相対標準偏差(RSD)の最大値は、ダイポールアンテナおよびダイポールアレイアンテナについて、それぞれ22.1%および6.3%未満であった。皮膚表面でのピーク温度上昇と自由空間内のピーク空間平均化入射電力密度との比として定義される加熱係数のRSDの最大値は、ダイポールアンテナおよびダイポールアレイアンテナについて、それぞれ43.2%および41.2%未満であった。人体モデルおよび誘電/熱パラメータの違いによる加熱係数における偏差は、アンテナ皮膚モデルとの間隔が5 mm超の場合、10および30 GHzでそれぞれ33.1%および19.6%以内であった。この条件下では、アンテナモデルの違いによる30 GHzでの加熱係数における偏差は26.3%を超えない。相互比較の結果に良好な一致が見られたことは、空間平均化入射電力密度の定義によって生じるドシメトリ分析の数値計算誤差は僅かであることを示している、と著者らは結論付けている。

ばく露