[内因性Ca2 +放出はヒト羊膜上皮細胞におけるAkt-SK1シグナルカスケードを介した50 Hz磁界による増殖に関与している] med./bio.

Endogenous Ca2+ release was involved in 50-Hz MF-induced proliferation via Akt-SK1 signal cascade in human amniotic epithelial cells

掲載誌: Electromagn Biol Med 2022; 41 (2): 142-151

超低周波(ELF)電磁界によって生じる生物学的影響の根底にあるメカニズムは依然として不明である。この論文の著者らは先行研究で、L型カルシウムチャネルとスフィンゴシンキナーゼ1(SK1)が、50 Hz磁界ばく露による細胞増殖に関与していることを示した。今回の研究は、50 Hz磁界による細胞増殖において細胞内Ca2+およびSK1に関連するシグナル分子の役割を、ヒト羊膜上皮(FL)細胞で調べた。その結果、細胞内Ca2+キレート剤のBAPTA[ビス2アミノフェニルエチレングリコール四酢酸]が、50 Hz磁界による細胞増殖を完全に阻害し得るが、L型カルシウムチャネル阻害剤のNIF[ニフェジピン]はこれを部分的にしかブロックしないことが示された。カルシウムを含まない培地細胞培養したところ、磁界ばく露細胞内Ca2+の増加、SK1の活性化、細胞増殖促進を生じたが、これらの増加レベルはいずれも完全な培地より低かった。更に、磁界によって活性化したSK1は、BAPTAによって完全に阻害され、磁界による細胞増殖は、SK1の特異的阻害剤のSKI IIによって排除された。更に、カルシウムを含まない培地条件下では、50 Hz磁界ばく露はERK[細胞シグナル制御キナーゼ]およびPKCα[プロテインキナーゼCα]の活性化に影響しなかったが、Aktは活性化させ、これはBAPTAによって完全に排除することができたが、NIFによっては阻害されなかった。カルシウムを含まない培地条件下でAkt 阻害剤のFC細胞のLY294002でFL細胞を処理したところ、磁界によるSK1の活性化を排除できた。これらのデータから、50 Hz磁界によるAkt-SK1シグナルカスケードを介した細胞増殖には内因性Ca2+放出が関与している、と著者らは結論付けている。

ばく露