[欧州連合は高周波技術の展開において健康よりも経済を優先している] misc.

The European Union prioritises economics over health in the rollout of radiofrequency technologies

掲載誌: Rev Environ Health 2022 [in press]

2017年9月以降、欧州連合(EU)に対して第5世代移動通信(5G)の展開のモラトリアム(一時凍結)を求める請願が6回送付されている。この論文の著者らは、この5Gについての請願とそれに対するEUの回答をレビューしている[訳注:この著者らはいずれもこの請願に署名している]。これには、高周波RF放射へのばく露に対するより厳格なガイドラインを求めて2021年9月にEU宛に送付された書簡の送付状が含まれている。この請願は、ワイヤレス技術主導の未来に対するアプローチを巡るEUの内部抗争、ならびにEU市民の健康と安全の防護の必要性に言及している。また、RF放射からの加熱以外の健康関連の生物学的影響を考慮していない[と著者らが主張している]国際非電離放射線防護委員会ICNIRP)の現行のガイドラインに、EUが依存していることを批判している。ICNIRPの姿勢に対抗するため、2021年の書簡の送付状では、EUの専門家グループ、大規模な欧州および国際的な研究、ならびにヒトと環境に対するRF放射の影響についての先行レビューから、最近の研究が簡略的に提示されている。この請願は、大多数の科学的証拠が生物学的影響を示しており、その多くは潜在的に有害で、ICNIRPの一般公衆に対する限度値未満で生じる、と主張している。この立場を確立するための証拠は、神経伝達物質および受容体に対する変化、ならびに細胞タンパク質、DNA、精子免疫系、がんを含むヒトの健康に対する損傷を示す研究から導かれるという。この請願は、5G信号は更に、量子レベルで酸素および水分子の挙動を変化させ、タンパク質の折り畳みを展開し、皮膚損傷し、昆虫、鳥類、カエル、動植物に害を及ぼす可能性があるとしている。これらの証拠は、EUが(i) 現行の間違ったガイドラインを、防護的な閾値に置き換えること、(ii) 5Gの展開に対するモラトリアムを設定すること、それにより(iii) 産業界から独立した科学者に、新たな健康防護ガイドラインを提案するのに必要な時間を与えること、に高い優先順位を与える必要があることを確立している、と著者らは主張している。

ばく露