[電磁界と健康リスクについての最近の研究‐電磁界に関する科学評議会からの第16次報告書] info

Recent Research on EMF and Health Risk. Sixteenth report from SSM’s Scientific Council on Electromagnetic Fields, 2021

Swedish Radiation Safety Authority (SSM)
2022, Report number: 2022:16: 1-100

電磁界ばく露健康リスクとの新たに確立された因果関係は同定されなかった。
本報告書に示す研究は、疫学研究で超低周波(ELF)磁界ばく露小児白血病との間に一貫して観察されている関連が因果関係かどうかを解決していない。
携帯電話使用に関連した腫瘍リスクについての新たな研究は極少数しか発表されなかった。過去数年と同様に、携帯電話使用と不眠のような症状との関連が観察された。但し、不眠は電波ばく露のレベルよりも使用期間と関連していた。このことは、観察された関連は高周波RF電磁界以外の要因によって説明できることを示唆している。そのような要因には、例えばストレスまたはその他の行動学的要因が含まれるかもしれない。不眠のような症状については、携帯電話基地局からのRF電磁界ばく露と環境上の懸念との間の有意な相互作用が、ある研究で認められており、このことは、携帯電話基地局からの潜在的健康リスクについての一般公衆とのコミュニケーションが必要であることを示している。認知機能および脳の体積についての若年者における新たな研究では、RF電磁界ばく露からのリスクは示されていない。
動物での研究に関しては、特定の状況下でRF電磁界ばく露からの何らかの影響が実験動物に観察されていること以外に、一般的な結論を導くことは困難である。従来のSSM報告書で報告された、酸化ストレスの増加についての観察は継続して認められ、現行の参考レベル未満で認められたものもある。酸化ストレス自然の生物学的プロセスで、病因に関与することもあり得るが、どのような状況下で弱い電波ばく露による酸化ストレスがヒトの健康に影響を及ぼすかについては、依然として調査が必要である。
電磁スペクトル中間周波(IF)範囲(300 Hz-10 MHz)におけるアプリケーションの利用が増加しているにもかかわらず、この範囲における潜在的健康リスクの科学的評価は僅かである。但し、本評議会が同定したこの分野における少数の研究では、現行の参考レベル未満での健康リスクは何ら示されていない。
この年次報告書には、満足のいく質に欠ける研究を一覧に示した章も含まれている。本年、ならびに昨年、多くの研究が質の低さのために除外された。科学的観点から、質の低い研究は重要ではない。それは資金、人的資源、および多くの場合、実験動物の無駄でもある。

ばく露

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