[4世代にわたって出生前および出生後に高周波放射にばく露したラットの脳における組織病理学およびMAPK経路に関連するタンパク質の変化] med./bio.

Changes in the histopathology and in the proteins related to the MAPK pathway in the brains of rats exposed to pre and postnatal radiofrequency radiation over four generations

掲載誌: J Chem Neuroanat 2022; 126: 102187

この研究は、4世代にわたって出生前および出生後に2450 MHz連続波高周波RF放射ばく露したラットの、胎児の脳の発達、雌ラット組織病理学的変化、雄ラット分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼMAPKタンパク質海馬でのレベルを調べた。ラットを4群(擬似ばく露群、雌ばく露群、雄ばく露群、雌雄ばく露群、各4匹:雄1匹、雌3匹)に割り付けた。ばく露群は2450 MHzの連続波RF放射に12時間/日、受精の1か月前からばく露した。妊娠18日目に、妊娠ラットを1匹、全身麻酔化で断頭し、胎児を摘出した。残りの妊娠ラットは通常の妊娠期間を完了した。仔ラットが2月齢時、4匹(雄1匹、雌3匹)を第2世代研究に割り付け、第1世代と同じプロセスで実験を実施した。胎児の脳の発達および雌ラットの脳における組織病理学的変化をヘマトキシリンエオシン染色で、雄ラット海馬でのMAPKタンパク質のレベルをウェスタンブロット法で分析した。その結果、全ての世代のばく露群の胎児および雌ラットの脳で、出血部位、不規則な細胞の局在および血管構造が認められた。また、全ての世代のばく露群の雄ラットで、細胞シグナル調節キナーゼタンパク質(pERK)、タウたんぱく質(ptau)、c-Jun N端末キナーゼタンパク質(pJNK)およびP38タンパク質(pP38)の増加が認められた(p < 0.005)。2450 MHz連続波RF放射への出生前後のばく露は、MAPK経路の機能に変化を生じ、学習記憶といった認知機能に影響を及ぼし、胎児および成体の脳組織損傷を生じるかもしれず、将来世代の脳に潜在的影響を及ぼすかもしれない、と著者らは結論付けている。

ばく露