この研究は、平均電力密度が10 mW/cm^2の2.8 GHzおよび9.3 GHzのマイクロ波にラットをばく露し、免疫系への生物学的影響とその潜在的メカニズムを調べた。その結果、単一周波数および多重周波数のマイクロ波ばく露はどちらも、ばく露後7日目に胸腺および脾臓に明白な生理学的変化を生じたが、多重周波数の方がより顕著な損傷を生じた。多重周波数ばく露は抹消血中の白血球およびリンパ球の数を増加させ、総リンパ球中のBリンパ球の割合を高めた。これは免疫応答の活性化を示している。また、Bリンパ球の増殖および活性化に関連するサイトカイン(インターロイキン(IL)-1α、IL-1βおよびIL-4等)がばく露の6時間後に増加したことが示された。これが7日目のBリンパ球の増加に寄与していたかもしれない。更に、多重周波数ばく露は抹消血中のB細胞の活性化に関連した遺伝子のmRNAおよびタンパク質発現を上方制御した。免疫関連遺伝子に加えて、多重周波数ばく露は主に、末梢血および脾臓でのDNA複製、細胞代謝およびシグナル伝達に関連した遺伝子発現に影響を及ぼした。2.8 GHzおよび9.3 GHzの多重周波数のマイクロ波は胸腺および脾臓に可逆的な損傷を生じたが、mRNAおよびタンパク質発現の上方制御ならびにサイトカイン放出により、抹消血中の免疫細胞を活性化させた、と著者らは結論付けている。
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