[高出力マイクロ波パルスへの反応における活性酸素種の産生は脳細胞でのp53の活性化およびDNA損傷を生じる:放射感受性および生物学的ドシメトリ評価] med./bio.

ROS production in response to high-power microwave pulses induces p53 activation and DNA damage in brain cells: Radiosensitivity and biological dosimetry evaluation

掲載誌: Front Cell Dev Biol 2023; 11: 1067861

パルス化高出力マイクロ波(HPM)には多くの応用技術があるが、その増加に伴い、生物学的影響および安全レベルが深刻な論点になってきている。この研究の著者らは、脳の正常な星状膠細胞およびU87 MGがん細胞に対する3.5 GHzのパルス化HPMの影響、ならびに、これに関与している可能性があるメカニズムを始めて観察した、と主張している。細胞をHPMパルス(10、25、40、60回:1 mJ/パルス)に直接ばく露した。ばく露量依存的な影響を評価するため、各パルスは1分間のチャージ時間後に供給した。その結果、強い電界(~23 kV/cm)のHPM照射は主に、U87および星状膠細胞活性酸素種ROS)の産生、細胞の生存率ミトコンドリア活性、細胞死の比率の変化を生じた。HPMばく露によるROS産生は主にDNA損傷およびp53の活性化を生じた。60回のパルスの有害なばく露量が脳の正常な細胞損傷を生じることが認められた。25回のパルスは、p53Bax、およびカスパーゼ-3の活性化を通じてU87細胞に対する治療効果を呈した。HPMパルスは、正常細胞では高いばく露量で、U87がん細胞では特定の25パルスで、ROSバーストのようなアポトーシス関連の事象を生じ、酸化的DNA損傷を増加させた。これらの知見は、HPMによる細胞死誘導生理学的メカニズム、ならびに、正常細胞に対するHPMばく露の安全閾値およびU87がん細胞に対する治療効果の理解に有益である、と著者らは結論付けている。

ばく露