[高周波電磁界の遺伝的損傷評価についての雑多な遺物に対処するためのコンセンサスのあるガイドラインの必要性] basics

The need for consensus guidelines to address the mixed legacy of genetic damage assessments for radiofrequency fields

掲載誌: Int J Radiat Biol 2023; 99 (7): 1016-1026

このレビュー論文の著者らは、ヒトおよび動物組織高周波RF電磁界ばく露した際の遺伝毒性の影響に関して、過去30年間に発表された300報を超える論文の解釈に関連する問題を検討している。論文の本文では、遺伝毒性試験のコンセンサスガイドラインの進化と、健康リスク評価に使用する科学的研究の評価における系統レビューの重視の高まりについて概説している。論文の補遺では、コメットアッセイを用いた遺伝毒性論文のセットを調査することで、生物学的影響文献を評価する際の幾つかの問題を検討している。その結果、ほとんどの研究では統計的に有意なばく露の影響は認められなかったが、極少数の研究(主にイン・ビボ研究)では統計的に有意なばく露の影響が報告されている。研究の質のばらつきが大きかった。幾つかの研究は細心の注意を払って行われ、文書化されたが、経済協力開発機構(OECD)のガイドラインなど、現在受け入れられているガイドラインに準拠して実施された研究はなかった。バイアスリスク(RoB)基準を用いた評価では、この研究サンプルのうち質の高い研究は、質の低い研究に比べて統計的に有意な結果が得られる可能性が低いことが示された。統計的有意性は生体影響研究の評価における考慮事項の一つに過ぎない、と著者らは結論付けている。 即ち、帰無仮説検定と統計的有意性の基準 p < 0.05 を用いて特定された「統計的に」有意な影響を単純に列挙することは、ばく露による健康リスクを評価する際に誤解を招き、有益ではない。研究の妥当性の評価、報告された影響の生物学的重要性、他の関連研究の結果との研究結果の一貫性など、証拠を慎重に総合する必要がある、としている。ヒトの健康リスク評価や文献の評価に用いることを意図した、今後の全てのRF遺伝毒性研究は、受け入れられている品質ガイドライン、即ち、遺伝毒性スクリーニング研究に関するOECDまたはそれと同等のガイドライン、および文献レビューに関するPRISMAまたはその他の受け入れられているガイドラインに準拠して行われるべきある、と著者らは推奨している。また、陽性の研究は、結果の信頼性を確立するために、より厳密な品質管理を行ってやり直す必要がある、としている。

ばく露