[ショウジョウバエにおける睡眠の質、寿命、および運動機能の磁界依存的改善に対するクリプトクロムの役割] med./bio.

動物の磁気受容の分子遺伝的基礎を理解することは、分子生物学における大きな課題の一つである。最近、キイロショウジョウバエの磁気感覚には、紫外線 （UV）-A／青色光の受容体であるクリプトクロム（Cry）が媒介していることが発見された。この研究は、磁気受容のモデル生物としてショウジョウバエを用いて、磁界ばく露（0.4-0.6 mT）により飢餓下での寿命が延長されたが、クリプトクローム変異体（cryb）では延長されないことが示された。磁界にばく露されると、野生型および神経変性疾患モデルのハエの運動機能が増加した。更に、磁界ばく露は夜間特有の方法で睡眠の質を改善したが、crybでは改善しなかった。また、交流磁界への反復ばく露は、野生型の登攀活動を増加させたが、crybでは増加させないことも示された。これらのデータは、寿命、睡眠の質、運動機能の磁界依存性の改善が、Cry依存性経路を介していることを示唆している、と著者らは結論付けている。