心血管系に対する人工的な電磁界の影響は、多くの研究で調査されている。電磁界と心拍変動(HRV)との関係を調べた研究では相反する結果が得られている。この研究は、データの一貫性を評価し、電磁界とHRV測定値との関連を特定するため、系統的レビューおよびメタ分析を実行した。Web of Science、PubMed、Scopus、Embase、Cochraneのデータベースから文献を検索、スクリーニングした。検索では1601報がヒットした。スクリーニング後、適格な15報の原著をメタ分析に包含した。研究では、電磁界とN-N間隔の標準偏差(SDNN)、24時間のHRV記録の各5分間のセグメントの平均NN間隔の標準偏差(SDANN)、および50ms以上異なる連続するR-R間隔の割合(PNN50)との関連を評価した。その結果、SDNN(ES=-0.227(-0.389, -0.065)、p=0.006)、SDANN(ES=-0.526(-1.001, -0.05)、p=0.03)、および PNN50(ES=-0.287(-0.549、-0.024))の減少が認められたが、LF(ES=0.061(-0.267, 0.39)、p=0.714)およびHF(ES=-0.134(0.581, 0.312)、p=0.556)、LF/HF(ES=0.079(-0.191, 0.348)、p=0.566)には有意差は認められなかった。これらの結果は、環境中の人工電磁界へのばく露がSDNN、SDANN、およびPNN50と有意に相関する可能性があることを示唆している。従って、電磁界がHRVに及ぼす影響による幾つかの兆候や症状を軽減するには、携帯電話などの電磁界を発するデバイスを使用する際の生活様式を修正することが不可欠である、と著者らは結論付けている。
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