研究のタイプ: レビュー/サーベイ論文

[胎児および小児の異常に対する電磁界ばく露:系統的レビューおよびメタ分析] review

Electromagnetic fields exposure on fetal and childhood abnormalities: Systematic review and meta-analysis

掲載誌: Open Med 2023; 18 (1): 20230697

この研究は、胎児および小児異常に対する電磁波の影響を調べた。PubMed、Scopus、Web of Science、ProQuest、Cochrane Library、Google Scholarを2023年1月1日に検索した。Cochrane Q 検定およびI2統計を用いて異質性を評価し、変量効果モデルを用いてプールされたオッズ比OR)、標準化平均差(SMD)、およびさ各種アウトカムの平均差をを推定し、メタ回帰法を用いて研究間の不均一性に影響を及ぼす要因を調査した。合計14報の研究を分析に包含し、以下のアウトカムを調べた:胎児臍帯血における遺伝子発現酸化物質パラメータ、抗酸化物質パラメータ、およびDNA損傷パラメータの変化、胎児の発達障害、がん小児期の発達障害。その結果、全体として、胎児および小児期の異常事象は、親が電磁波にばく露されていない場合と比較して、親が電磁波にばく露されていた場合の方がより一般的であった(SMD = 0.25、95%信頼区間(CI)= 0.15-0.35、I2 = 91%)。更に、胎児の発達障害(OR = 1.34、95% CI = 1.17-1.52、I2 = 0%)、がんOR = 1.14、95% CI = 1.05-1.23、I2 = 60.1%)、小児期の発達障害(OR = 2.10、95% CI = 1.00-3.21、I2 = 0%)、遺伝子発現の変化(平均差 [MD] = 1.02、95% CI = 0.67-1.37、I2 = 93%)、酸化剤パラメータ(MD = 0.94、95% CI = 0.70-1.18、I2 = 61.3%)であった。親が電磁界ばく露されていた場合のDNA損傷パラメータ(MD = 1.01、95% CI = 0.17-1.86、I2 = 91.6%)は、親がばく露されていない場合よりも高かった。メタ回帰では、出版年は不均一性に有意な影響を及ぼした(係数 = 0.033、95% CI = 0.009-0.057)。母親の電磁界ばく露(特に妊娠初期の)は、幹細胞のレベルが高く、電磁界に対する感受性も高いため、臍帯血の生化学的パラメータの検査では、酸化ストレス応答の増加、タンパク質遺伝子発現の変化、DNA損傷、および胚異常の増加が認められた。加えて、電離放射線および非電離放射線への親のばく露は、各種の細胞ベースのがんや、小児期の言語障害などの発達障害の強化につながるかもしれない、と著者らは結論付けている。

ばく露