研究のタイプ: リスクコミュニケーション/リスク認知の研究

[放射線と健康についてのコミュニティ関与プログラム:公衆の懸念に対処する] risk

Community engagement programs on radiation and health: addressing public concerns

掲載誌: Public Health Res Pract 2023; 33 (3): 3332325

放射線に関する否定的な意味合いのため、地域社会では放射線、特に、送電線携帯電話基地局、5Gネットワークの展開などによる電磁放射(EMR)と健康に関して大きな不安が広がっている。このため、保健当局にとって、放射線の安全性に関する情報と保証を国民に提供することが重要である。オーストラリア放射線防護・原子力安全庁(ARPANSA)は、地域社会の懸念に対処するために地域参加プログラムを立ち上げている。2003-2022年4月まで、ARPANSA は健康苦情登録制度を運営し、EMRばく露の可能性に関する公衆からの健康苦情の報告を収集した。収集したデータを用いて、苦情の性質とレベルに関する年次統計概要を作成した。2016年以来、ARPANSA はオーストラリアでのばく露健康、保護に関する問題について一般の人々が科学者と直接コミュニケーションできるようにする「科学者と話そう」プログラムも実施している。この登録制度への関心は低く、運用期間中に受け取った報告はわずか 180 件であった。健康への悪影響の原因であると報告されている最も一般的なEMRばく露源はスマートメーターであった。報告された最も一般的な健康への悪影響は頭痛であった。関心が低かったため、この登録制度は 2022 年 4 月に閉鎖された。対照的に、「科学者と話そう」プログラムでは 2016 年以来 6,546 件の問い合わせに回答し、そのほとんどは EMRばく露源に関するものであり、「科学者と話そう」プログラムの成功により登録制度は廃止された。EMR健康苦情登録制度は、おそらく当局との関与が欠如していると認識されていたため、一般の人々から大きな関心を集めることはなかった。「科学者と話そう」プログラムは、対象分野の専門家との直接の交流促進し、一般の人々と関わり、電磁放射の安全性に関する地域社会の懸念に対処するという点で、より大きな成功を収めてきた、と著者らは報告している。

ばく露