[中国蘭州の鉄道沿線におけるGSM鉄道(GSM-R)電磁界ばく露の評価] tech./dosim.

Assessment of Global System for Mobile Communications - Railway (GSM-R) electromagnetic fields exposure along the railway lines in Lanzhou, China

掲載誌: Environ Res 2025; 272: 121138

高速鉄道の急速な発展と、それに関連する無線サービスの進展に伴い、電磁界ばく露、特に鉄道沿線住民に対する懸念が高まっている。多くの研究が携帯電話事業者、放送、WLANサービスからの無線ばく露を調査している一方で、鉄道通信サービスに関連する電磁界ばく露は、主に鉄道関係者の職業ばく露に焦点が当てられており、鉄道沿線付近の一般公衆のばく露に対する注意は不十分であった。この研究は、中国の蘭州にある2つの鉄道沿線において、車両搭載型データ測定と固定地点測定という2つの異なる方法を用いて、異なる日に電磁界ばく露レベルを評価した。その結果、GSM-Rによる最大電磁界ばく露は、基地局から1200-1500 mの距離で発生することが観察された。GSM-Rの電磁界ばく露の最大値、95%値、平均値はそれぞれ、0.5755 V/m、0.2265 V/m、0.02483 V/m(蘭新線)、0.1376 V/m、0.1107 V/m、0.01722 V/m(蘭州新区線)と記録された。同時期に固定地点で収集されたデータは、それぞれ0.0313 V/m、0.0303 V/m、0.02517 V/mであった。測定値は空間的に大きなばらつきを示したものの、異なる日に取得された測定値は高い再現性を示した。さらに、測定中にGSM-Rサービスのチャネル切り替え現象が確認された。車両搭載型データ測定法は、広範囲にわたる電磁界ばく露レベルの評価に非常に効率的である。GIS(地理情報システム)や基地局情報などの追加データを統合することで、多次元的な分析が可能になり、ばく露に関連するより多くの洞察が得られる。このアプローチを用いた本研究では、鉄道沿いのGSM-Rばく露の変動は、アンテナの垂直方向の指向性に関連している可能性が示唆された。さらに、GSM-Rサービスからの電磁界ばく露レベルは、国際非電離放射線防護委員会ICNIRP)のガイドラインに準拠しており、これらの通信サービスが周辺の公衆に重大な健康リスクをもたらすことはないと考えられる、と著者らは結論付けている。

ばく露