ばく露制限値より低い高周波(RF)電磁界の悪影響を示唆する証拠はないものの、リスクコミュニケーションを担当する当局は、市民が個人のばく露を低減できるよう、プレコーショナリ的な助言を提供している。しかしながら、先行研究では、プレコーショナリ的情報は却ってリスク認知を高め、信頼を低下させる可能性があることが示唆されている。この研究は、ドイツとギリシャの大規模な一般人口集団サンプルを用いて、5Gに関するプレコーショナリ的情報がリスク認知と信頼に及ぼす影響を調べた。個人的関連性を潜在的な調整因子として初めて検証し、実用的およびテーマ的関連性を評価するための新たなアプローチを用いた。参加者はまず、トピックへの関連性について調査を受け、次に「高周波(RF)電磁界と健康」に関する基本情報が提供され、実験群には追加のプレコーショナリ的情報が提供された。その後、リスク認知と信頼に関する異なる尺度を用いて評価を行った。実験群ではリスク認知が高く、信頼が低いことが予想され、個人的関連性が低いほど、この影響はより強くなると想定した。その結果、予想に反して、プレコーショナリ的情報によってリスク認知が上昇した指標は1つだけで、ドイツだけであった。予想された個人的関連性による緩和効果は認められなかったが、関連性自体はリスク認知を有意に予測し、関連性が高いほどリスク認知も高くなるという相関関係が見られた。探索的調査の結果、女性は男性と比較してリスク認知が高く、ギリシャはドイツと比較してリスク認知が高いことが明らかになった。プレコーショナリ的情報による効果が少なかったのは、モバイル機器使用時の個人ばく露低減対策に重点が置かれていることと関連している可能性がある。この結果は、リスクコミュニケーションにおいて個人的関連性と人口統計学的要因を考慮することの重要性を強調し、今後の研究の方向性を示唆している、と著者らは結論付けている。
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