研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[DECTコードレス電話の親機から発せられる無線周波電磁界と神経膠腫及び髄膜腫のリスク(インターフォン研究グループ、ドイツ)] epidem.

Radiofrequency electromagnetic fields emitted from base stations of DECT cordless phones and the risk of glioma and meningioma (Interphone Study Group, Germany)

掲載誌: Radiat Res 2006; 166 (1): 116-119

この研究は、ドイツで実施された、「連続的な低レベルの高周波電磁界RF EMF)へのばく露神経膠腫および髄膜腫リスクを高める」という仮説を検証するための人口ベース症例対照研究である。調査参加者は、脳腫瘍の新規症例747人(30 - 69歳)および症例とマッチングされた対照1494人である。この分析に用いたばく露指標は、DECTコードレス電話機本体のベッド近くでの位置であり、夜間のRF EMFへの連続的な低レベルばく露の代替指標とされた。結果として、推定オッズ比は、神経膠腫では0.82(95 %信頼区間:0.29-2.33)、髄膜腫では0.83(同0.29-2.36)であった;DECTコードレス電話機本体へのばく露の期間に伴うリスク上昇は観察されなかった;ばく露のある調査参加者者の数が少ないため、この研究には限界があるが、それでも、居住環境における低レベルRF-EMFへのばく露脳腫瘍リスクを高めない可能性を初めて示したものである、と報告している。

研究の目的(著者による)

DECTコードレス電話の親機から発せられる連続的な低レベル無線周波電磁界神経膠腫及び髄膜腫リスクを高めるかどうかを調査するため、ドイツにおいて人口ベース症例対照研究を実施した。

詳細情報

DECT親機へのばく露を評価するため、ドイツの研究グループが、インターフォン・プロジェクトの中核アンケートを補足した。携帯電話に関する結果は、 publication 13158 に発表している。
ばく露尺度は、DECTコードレス電話親機の位置とした。被験者のベッドから3m以内にDECT親機がある場合、その被験者ばく露群に分類した。多くの被験者は自身のコードレス電話がDECTかどうかを想起できなかったので、コードレス電話を「確実にDECT」及び「恐らくDECT」に分類するため、製造元と型式についての全ての情報を用いた。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (オッズ比(OR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 確実にDECT:いいえ
集団 2 確実にDECT:はい
参照集団 3 恐らく/確実にDECT:いいえ
集団 4 恐らく/確実にDECT:はい
参照集団 5 最初のばく露からの期間(恐らく/確実にDECT):いいえ、< 1 年
集団 6 最初のばく露からの期間(恐らく/確実にDECT):1-4 年
集団 7 最初のばく露からの期間(恐らく/確実にDECT):≥ 5 年

調査対象集団

症例集団

対照集団

調査規模

症例 対照
適格者 891 2,449
参加者 747 1,494
参加率 84 % 63 %
その他:

神経膠腫:適格な症例460人、参加366人;髄膜腫:適格な症例431人、参加381人

統計学的分析方法: (調整: )

結論(著者による)

DECTコードレス電話の親機をベッドの近くに置いていた被験者は少数のみであった(確実に:症例8人及び対照23人、恐らく/確実に:症例10人、対照26人)。神経膠腫または髄膜腫リスクは上昇していなかった。
夜間の連続的な低レベル無線周波電磁界ばく露と、神経膠腫及び髄膜腫リスクとの関連は認められなかった。

研究の限界(著者による)

ばく露された被験者は少数だけであった。コードレス電話の種類についての詳細な情報(アナログまたはDECT)は入手が困難であった。

研究助成