[Falzone他による『in vitroでのヒト精子のミトコンドリア膜電位及び運動能に対するパルス900 MHz GSM放射の影響』(Bioelectromagnetics 29:268-276, 2008)へのコメント] comment

Comment on "In vitro effect of pulsed 900 MHz GSM radiation on mitochondrial membrane potential and motility of human spermatozoa" by Falzone et al. (Bioelectromagnetics 29: 268-276, 2008)

掲載誌: Bioelectromagnetics 2011; 32 (6): 509

Falzone 他がBioelectromagnetics 誌 第29巻に公表した「in vitroでのヒト精子ミトコンドリア膜電位及び運動能に対するパルス900MHz GSM放射の影響」の論文内容2点について疑問を指摘している。Falzone 他の研究は、ヒト精子へのSAR値2.0および5.7W/kgのばく露が、ミトコンドリア膜電位運動性に与える影響を調べたものである。その結果、ミトコンドリア膜電位への影響は観察されなかったが、運動性については、抄録において、「SAR値5.7 W/kgのばく露後、時間が経過すると、直線運動速度(VSL)と精子頭部振動頻度(BCF)に有意(p < 0.05)な損傷が見られたが、ばく露時間経過との相互作用はなかった。」と述べている。疑問1:本文の結果の章、「運動性パラメータ」の節において示されたデータ(図6B)は、抄録の文章と一致していない。「(5.7W/kgのばく露において)BCFは、対照群と比較してばく露群では有意(p = 0.04)に低かった(図6B)」と書かれているが、図を見ると、BCFはT1(ばく露直後)T3(ばく露の24時間後)において高くなり、T2(ばく露の2時間後)においてほぼ同等である。疑問2:「速度パラメータ」の節において、「3つの時点でのばく露群と対照群の比較についての時系列回帰分析で、VSLについて統計学的有意差(p = 0.05)が示された」と書かれている。著者は統計学的分析の節で、「全ての統計学的検定は両側とし、p < 0.05を有意と見なした。」と述べている。これは些細なことに見えるかもしれないが、p < 0.05(有意差あり)とp = 0.05(有意差なし)は同じではない。 要するに、公表されたデータはばく露による有意な有害影響はないことを示唆しているように見える。このことを明確に伝えるべきであろう。注:コメントの対象となったFalzoneの論文(2008)は本データベースに登録されている。

ばく露

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