研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[携帯電話及びコードレス電話の使用と頭頸部での悪性黒色腫のリスクについての症例対照研究] epidem.

Case-control study on the use of mobile and cordless phones and the risk for malignant melanoma in the head and neck region.

掲載誌: Pathophysiology 2011; 18 (4): 325-333

【背景】多くの他の国と同様にスウェーデンでの過去数十年間に、皮膚悪性黒色腫の発症数は増加した。紫外線、光過敏性皮膚および日焼けに対する適応力不足など体質的要因の他に、少数のリスク要因が確立されている。いくつかの研究は、電磁界が関係するかもしれないことを示唆している。【目的と方法】この症例対照研究は、頭頚部の悪性黒色腫の症例群347人と対照群1184人における携帯電話およびコードレス電話の使用を調査した。これらの対象者は質問紙に回答した人から成った(回答率はそれぞれ82%および80%であった)。【結果】 全体としてリスクの上昇は見られなかった。しかし、ばく露が最も高い部位である側頭葉、頬、耳において、携帯電話の累積使用時間が>365時間の場合、>1-5 yearの潜伏期群におけるオッズ比OR)は2.1(95%信頼区間:0.7-6.1)、コードレス電話使用ではOR = 2.1(同1.1-3.8)であった。頭頚部の解剖学的部位には無関係に、20歳以前に携帯電話またはコードレス電話を初めて使用した場合において最も高いORが計算された。確立されているリスク要因(髪の色[赤・中間色の金髪・金髪]、青い目、皮膚のタイプIまたはII[日焼け経験なし・時折あり]、十代での重症の日焼け、遺伝的形質)との相互関係は見られなかった。【結論】対象数の少なさ、および症例対照研究が潜在的に持つ方法論的欠点のため、結果は注意深く解釈しなければならない。知見はマイクロ波による後期発がん影響、すなわちがんプロモーションに密接に関連しているかもしれないが、確認の必要がある。

研究の目的(著者による)

携帯電話及びコードレス電話の使用と頭頸部での悪性黒色腫リスクとの関連を調査するため、スウェーデンにおいて症例対照研究を実施した。

詳細情報

頭頸部での悪性黒色腫の局在性を、頬及び耳を含む側頭部とその他の部位に更に分割した。
診断前の携帯電話またはコードレス電話へのばく露が1年以下の参加者は非ばく露に分類した。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (オッズ比(OR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 非ばく露
集団 2 携帯電話の累積使用: ≤ 128時間;潜伏期間 > 1-5年
集団 3 携帯電話の累積使用: ≤ 128時間;潜伏期間 > 5-10年
集団 4 携帯電話の累積使用: ≤ 128時間;潜伏期間 > 10年
集団 5 携帯電話の累積使用: ≤ 128時間;潜伏期間 > 1年(グループ2+3+4)
集団 6 携帯電話の累積使用: > 128時間;潜伏期間 > 1-5年
集団 7 携帯電話の累積使用: > 128時間;潜伏期間 > 5-10年
集団 8 携帯電話の累積使用: > 128時間;潜伏期間 > 10年
集団 9 携帯電話の累積使用: > 128時間;潜伏期間 > 1年
集団 10 コードレス電話の累積使用: ≤ 365時間;潜伏期間 > 1-5年
集団 11 コードレス電話の累積使用: ≤ 365時間;潜伏期間 > 5-10年
集団 12 コードレス電話の累積使用: ≤ 365時間;潜伏期間 > 10年
集団 13 コードレス電話の累積使用: ≤ 365時間;潜伏期間 > 1年
集団 14 コードレス電話の累積使用: > 365時間;潜伏期間 > 1-5年
集団 15 コードレス電話の累積使用: > 365時間;潜伏期間 > 5-10年
集団 16 コードレス電話の累積使用: > 365時間;潜伏期間 > 10年
集団 17 コードレス電話の累積使用: > 365時間;潜伏期間 > 1年
集団 18 ワイヤレス電話(携帯及び/またはコードレス電話)の累積使用: ≤ 365時間;潜伏期間 > 1-5年
集団 19 ワイヤレス電話(携帯及び/またはコードレス電話)の累積使用: ≤ 365時間;潜伏期間 > 5-10年
集団 20 ワイヤレス電話(携帯及び/またはコードレス電話)の累積使用: ≤ 365時間;潜伏期間 > 10年
集団 21 ワイヤレス電話(携帯及び/またはコードレス電話)の累積使用: ≤ 365時間;潜伏期間 > 1年
集団 22 ワイヤレス電話(携帯及び/またはコードレス電話)の累積使用: > 365時間;潜伏期間 > 1-5年
集団 23 ワイヤレス電話(携帯及び/またはコードレス電話)の累積使用: > 365時間;潜伏期間 > 5-10年
集団 24 ワイヤレス電話(携帯及び/またはコードレス電話)の累積使用: > 365時間;潜伏期間 > 10年
集団 25 ワイヤレス電話(携帯及び/またはコードレス電話)の累積使用: > 365時間;潜伏期間 > 1年

調査対象集団

症例集団

対照集団

調査規模

症例 対照
適格者 421 1,478
参加者 247 1,184
統計学的分析方法: (調整: )

結論(著者による)

10年超の長期的な携帯電話使用は症例57人、コードレス電話使用は症例17人、全体でワイヤレス電話使用は67人の被験者が報告した。
全体として、携帯電話及びコードレス電話の使用と頭頸部での悪性黒色腫リスクとの関連は認められなかった。但し、最もばく露される部位(側頭、頬及び耳)では、潜伏期間が>1-5年のグループにおける携帯電話の累積使用時間が365時間超でオッズ比OR)が2.1(CI 0.7-6.1)、コードレス電話使用ではオッズ比2.1(CI 1.2-3.8)であった。確立されたリスク要因(例:金髪、碧眼、皮膚タイプが1または2(日焼けしたことがない、または時折日焼け)、10歳代で重度の日焼け)との相互作用は認められなかった。

研究の限界(著者による)

数が少ないことと、症例対照研究の研究タイプにおける潜在的な手法上の欠点のため、この結果は慎重に解釈しなければならない。

研究助成

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