研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[テヘランの超低周波電磁界の変電所における従業員の精神衛生状態] epidem.

Mental health status of employees in substations of electromagnetic fields at extremely low frequency in Tehran

掲載誌: Iranian J Environ Health Sci Eng 2006; 3 (3): 217-221

電磁界ばく露と、生体系障害の可能性の高まりとの関係、加えてこれら電磁界の増加の現況を鑑み、本調査は2004年、101人の高圧変電所従業員を対象に、これらの環境での勤務が、精神衛生上どのような影響を及ぼしているかを測定するために実施された。101人の従業員は、230kV電流が供給する50Hzの電磁界ばく露されていた。我々は 症状チェックリスト (SCL-90-R) による試験を行い、これら被験者対照群と比較した。データ解析の結果、症例群の幾人かのメンバーが他のメンバーより遥かに低く示した、全般性重症度指標 (GSI) 及び陽性症状総計 (PST) の数値すら、対照群の示した数値より高いものであった (P < 0.022 及び P < 0.049 )。陽性症状抑うつ指数 (PSDI) では、両群の間に顕著な差は認められなかった。また、症例群のメンバーは対照群との比較において、すべての下位尺度で高い数値を示した。統計的にその差が顕著であったのは、身体化、抑うつ不安、敵意、恐怖症という下位尺度においてであった。P > 0.05 を示す精神病質については、顕著な例は見られない傾向にあった。年齢、配偶者の有無、分割交代勤務の担当時間帯と、GSI の数値との間には、いかなる相関関係も見出されなかった。極低周波電磁界での勤務は精神疾患発現に至ることもありうる。しかしながら、この調査結果は、他の対照臨床試験による裏付けを必要としている。

研究の目的(著者による)

変電所での超低周波磁界への職業ばく露と精神衛生状態との関連を調査するため、イランにおいて研究を実施した。

詳細情報

精神衛生状態を評価するため、参加者にアンケート(症状チェックリスト90改訂版)への回答を求めた。アンケートは、身体化、強迫観念と強迫、対人感受性、抑うつ不安、敵意、恐怖症、妄想念慮、精神病傾向を含む90項目からなる。5点の尺度に基づくスコアの割り当てで個人の前週の精神状態を評価する。総重症度指数(GSI)、陽性症状苦痛指数(PSDI)、陽性症状合計(PST)のの3つの指標に従ってスコア及び結果の解釈を得た。GSIは症状のレベルまたは重症度を示し、症状の数と苦痛の重症度についての情報を与える。PSDは単純に非意見者が陽性と報告した症状の数を測る。PSDIは苦痛の重症度の純粋な測定値である。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

ばく露

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 電磁界にばく露されない管理業務に従事する変電所の従業員
集団 2 電磁界にばく露される変電所の従業員

調査対象集団

症例集団

対照集団

調査規模

症例 対照
参加者 101 101
評価可能 99 98

結論(著者による)

症例群と対照群では、GSI及びPSTに統計的有意差が認められた。PSDIには両群で有意差は認められなかった。症例は全てのサブスケールで、対照群よりも高いスコアを示した。身体化、抑うつ不安、敵意及び恐怖症のサブスケールについて統計的に有意であった。年齢、婚姻状態及び分割シフト制勤務とGSIスコアとの相関は認められなかった。
著者らは、変電所での超低周波磁界への職業ばく露は精神障害の発症につながり得ると結論付けた。但し、この結果は別の制御された試行による確認が必要である。

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