[レター:高圧電力線の近傍での成人のがん] comment

Adult cancers near high-voltage power lines

掲載誌: Epidemiology 2013; 24 (5): 782-783

このレターは、Elliottらの論文「高圧電力線の近傍での成人がん」(Epidemiology: 24: 184-190: 2013)に対するものである。「高圧架空電力線に近接した居住環境の磁界成人がん疫学的関連を支持しなかった」というElliottらの結論に異を唱え、研究デザインの重大な欠陥により、根底にある関連が覆い隠された可能性があるのではないかとの見解を述べている。重大な欠陥とは、この研究では、275 - 400 kV線の沿線両側1000m以内の住民を対象とし、132 kV線は一部のみ(総延長距離で0.1%)を取り入れたため、「132 kV線(50mの距離での代表的磁界強度は>150 nT)の除外により、“National Grid送電線から1000m以内の住民”のばく露にかなり大きな誤分類が生じた」と述べている。このレターの著者らはかつてSAGEのメンバーであったが、そのSAGEによれば、275および400 kV線を合わせた沿線近傍の4倍以上の住居が132 kV線沿線近傍にあると述べ、これを除外したことによる誤分類が主に非差別的であるとしても、ばく露症例および対照の数の減少は、統計的検出力を実質的に減じ、根底に潜む関連の有意性を小さ目に表現すると論じている。また、Elliottらの用いたカットオフポイント50mに対し、100mの方が磁界分布から見て妥当であるとして、参照群(600-1000 m)に対する近傍居住者群(0-99 m)のオッズ比を示し、多少リスク推定値が上昇すると述べている。

ばく露

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