研究のタイプ: サーベイ (医学/生物学の研究)

[MRI誘導性DNA損傷からの潜在的な健康影響に関するコメント:量よりも品質を考慮することが重要である] review

Comments on potential health effects of MRI-induced DNA lesions: quality is more important to consider than quantity

掲載誌: Eur Heart J Cardiovasc Imaging 2016; 17 (11): 1230-1238

この総説は、MRIの潜在的な長期健康リスクに対する関心、特に関心の高いばく露後のDNA損傷の増加を報告した少数の研究から生じている論争に焦点を当て、プレコーショナリ原則に拠り不必要なMRI検査の回避や使用制限を求める一部の主張の適否を考察している。要点として、公表されているデータは全体として限界を有しており、かつ一貫性がない;MRIのDNA損傷を引き起こす能力については堅固な実証がなされなければならず、今後の実験は、感度の最適設計、再現性の検証・評価を可能にするベンチマーク設定に注意することが望ましい;DNA損傷に関する大半の研究では、観察されたγH2AX誘導からMRIによるDNA2重鎖切断(DSB)の示唆を得たとしているが、これは電離放射線で特有に想定され得るものである(γH2AXは、古典的DSBのマーカであるだけでなく、停止した複製フォーク、あるいは特定の環境での停止したDNA転写マーカでもある。また電離放射線は、複雑なDNA損傷生成に効力を持ち、この損傷は修復性低下を伴う電離放射線特有のものである);仮に、MRI関連の電磁界にDNA傷害の能力があるとしても、生成される傷害は一般的に単純で、内生的プロセスにより生成されるものに似ているであろう;したがって、MRIにより生成されるかも知れないγH2AX fociまたはDNA傷害を、電離放射線の規定量ばく露によるもの(こちらは、生物効果が高く、長期健康影響に至る確立が高い)と単純に比較して、がんリスクに言及することは不適切である;結論として、より重要な意味を持つ下流の評価項目(染色体異常など)に焦点を絞ることが重要である(その過程では潜在的に、酸化ストレス恒常性擾乱が必然的に関与し、それが内生的DNA損傷生成のバックグラウンド発生率を変化させることを考慮する必要がある)、と解説している。総括として、現時点で必要なのは、より多くの研究と恐怖をばらまかないことであると述べている。

影響評価項目

ばく露