[50 Hzの磁界ばく露はSphK-S1P-S1PRカスケードを介したERK[細胞外シグナル調節キナーゼ]シグナル伝達経路を介してヒト羊膜細胞の増殖を促進する] med./bio.

A 50-Hz magnetic-field exposure promotes human amniotic cells proliferation via SphK-S1P-S1PR cascade mediated ERK signaling pathway

掲載誌: Ecotoxicol Environ Saf 2020; 194: 110407

先行研究では、超低周波(ELF)電磁界ばく露細胞増殖誘導することで、腫瘍発生の進行に潜在的インパクトを及ぼすかも知れないことが示唆されているが、その根底にあるメカニズムは不明である。この研究は、50 Hz、0.4 mTの磁界ばく露によって誘導した細胞増殖の調節において、スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)関連経路が何らかの役割を果たしている可能性を調べた。その結果、磁界ばく露はスフィンゴシンキナーゼ1(SphK1)活性を有意に促進すること、ならびに、SphK1-S1P-S1P受容体(S1PR)経路は磁界による細胞増殖を顕著に逆転させ得ることが示された。加えて、磁界によって誘導したS1Pがパラ分泌的および/または自己分泌的にS1PR1/3に作用し、増殖作用に介在していることが推測された。とりわけ、磁界細胞シグナル制御キナーゼ(ERK)およびプロテインキナーゼB(Akt)経路を活性化させるものの、SphK1-S1P-S1PR1/3カスケードはAkt経路ではなくERKを活性化させることで、磁界によって誘導された増殖を制御する。これらの知見は、磁界によって誘導された増殖において、SphK1-S1P-S1PR1/3カスケードはERKシグナル伝達経路を介して重要な役割を果たしていることを示しており、このことは磁界の悪影響の理解とその防止に新たな洞察をもたらし得るものである、と著者らは結論付けている。

ばく露

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