[ラットの皮膚での10 GHzマイクロ波放射ばく露の影響:分子応答についての洞察] med./bio.

Effects of Microwave 10 GHz Radiation Exposure in the Skin of Rats: An Insight on Molecular Responses

掲載誌: Radiat Res 2021; 196 (4): 404-416

この研究は、10 GHzマイクロ波への3時間/日、30日間のばく露による、ラット皮膚への影響を調べた。その結果、(国際非電離放射線防護委員会ICNIRP)の2020年のガイドラインにおける職業的ばく露に対する参考レベルに相当する)10 mW/cm^2ばく露群では、擬似ばく露群と比較して、有意な生物物理学的、生化学的、分子的および組織学的変化が認められた。赤外線サーモグラフィーでは、30日間の10 mW/cm^2ばく露後では擬似ばく露群と比較して、1.8°C(標準偏差0.3°C)皮膚表面の平均温度の上昇が認められた。10 mW/cm^2ばく露群の皮膚では、酸化ストレス(活性酸素腫(ROS)、4-ヒドロキシ-2-ノネナール(4-HNE)、過酸化脂質(LPO)、タンパク質過酸化物(AOPP))、炎症反応(核内因子kB(NFkB)、誘導型一酸化窒素合成酵素iNOS/NOS2)、シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2))ならびに代謝変化(ヘキソキナーゼ(HK)、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、クエン酸シンターゼ(CS)およびグルコース- 6-リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PD))も認められた。10 mW/cm^2ばく露後では擬似ばく露群と比較して、細胞の生存に関連するマーカー(Akt/PKB)およびHSP27/p38MAPK関連ストレス応答シグナル伝達カスケードの発現有意な変化が認められた。但し、マイクロ波ばく露群にはアポトーシスは認められず、これはカスパーゼ-3のレベルに変化はないことでも示された。10 mW/cm^2ばく露後では擬似ばく露群と比較して、組織病理学的分析で表皮層の軽度の細胞構築変化と白血球の僅かな凝集が認められた。これらの知見は全体として、10 mW/cm^2(3時間/日、30日間)の10 GHz連続波へのばく露は、ラット皮膚におけるストレスへの適応応答に関連した分子マーカーの有意な変化につながることを示している、と著者らは結論付けている。

ばく露