研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[電力会社の従業員における多発性硬化症] epidem.

Multiple sclerosis among utility workers

掲載誌: Neurology 1999; 52 (6): 1279-1282

<目的>通常以上のレベルの低周波電磁界に曝露される職業は、神経組織変性が起こり、アルツハイマー病(AD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの慢性神経機能の病気のリスクが大きくなるとの仮説があり、多発性硬化症(MS)も同様に考えられている。この研究では、デンマーク全国の電力会社従業員について曝露の大きい職業とMSの罹病について調査を行い、一般人との罹病率の比較を行った。 <方法>デンマークでは多発性硬化症の登録(DMSR)が1948年から行われており、22の研究機関と二つのリハビリセンターを繋げて、過去遡及的に1948年から1993年までの31,990人の全国99の会社の従業員(少なくとも3ヶ月在籍者)の発症について調査が行われた。がんの罹病の調査と同じ手法で、25の職種名と19の職場の中で職業-曝露マトリックスが作られ、電磁界への曝露が評価され、また各人の健康調査が行われた。 <結果>総数31,990人(男26,124 女5,866)の中は約526,000人年平均16.5年の追跡が含まれた。全体として32名の症例が観察され、一般人口の罹病率から割り出された期待数は23.7であり、ここから電力従業員として有意ではないSIR 1.35(95%CI 0.92-1.91)(男1.2 女1.7)が計算された(表2)。そして最初の雇用時からの時間とMS罹病までの時間、或いは電力での雇用期間とMS罹病については何かの傾向は見られなかった(表3)。極度の電磁界曝露を受ける職業の従業員ではMSのリスクはより高かったが、その増加は有意ではなかった(表3)。情報として、32名の症例の中で高い曝露カテゴリーに属する全ての従業員4名は全てケーブル繋ぎ工であった。

ばく露

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