研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[無線周波電磁界;男性の不妊と子どもの性比] epidem.

Radiofrequency electromagnetic fields; male infertility and sex ratio of offspring

掲載誌: Eur J Epidemiol 2008; 23 (5): 369-377

方法 :王立ノルウエー海軍の軍人での横断研究で、無線周波電磁界放射する機器の近くでの作業、一年間不妊である、子供や子孫の性別に関する情報を得た。結果 :10497名の回答者の内、22%は高周波アエリアルに接近した作業の度合いが「高い」または「非常に高い」であった。自己申告した無線周波電磁界ばく露の増加につれて、不妊は増加した。年齢、喫煙歴、アルコール摂取量、有機溶剤/溶接/鉛へのばく露を調整したロジスティック回帰分析によれば、高周波アエリアルから10m以内での作業に「非常に高い」と報告した人をそのような作業なしと報告した人と比較した不妊オッズ比OR)は1.86(95%信頼区間:1.46-2.37)であった。同様に、「高い」、「普通」および「低い」場合のORは、それぞれ1.93(1.55-2.40)、1.52(1.25-1.84)、1.39(1.15-1.68)であった。全年齢グループにおいて、意図しない子供なしの頻度は無線周波ばく露の申告値の増加と顕著な直線的傾向があった。しかしRFばく露の度合いと子供の数は関連しなかった。自己申告した高周波アエリアルと通信設備の両方へのばく露については、父親が高周波電磁界に高度ばく露したと報告した時期に誕生した、女児に対する男児の比率の低下と直線的傾向があった

研究の目的(著者による)

海軍における男性の無線周波電磁界への職業ばく露不妊及び子どもの性比との関連を、ノルウェーにおける横断的研究で調査した。

詳細情報

リプロダクティブ・ヘルスに影響を及ぼすかも知れない6種類のばく露を検討した。そのうち3つは電磁界ばく露に関するものであった。男性とそのパートナーが妊娠を試みたが1年以上にわたって成功しなかった経験があるかどうかの質問によって不妊を決定した。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (オッズ比(OR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 高周波アンテナから10m以内での作業の度合い:全くなし
集団 2 高周波アンテナから10m以内での作業の度合い:低い
集団 3 高周波アンテナから10m以内での作業の度合い:ある程度
集団 4 高周波アンテナから10m以内での作業の度合い:高い
集団 5 高周波アンテナから10m以内での作業の度合い:非常に高い
参照集団 6 通信機器から3m以内での作業の度合い:全くなし
集団 7 通信機器から3m以内での作業の度合い:低い
集団 8 通信機器から3m以内での作業の度合い:ある程度
集団 9 通信機器から3m以内での作業の度合い:高い
集団 10 通信機器から3m以内での作業の度合い:非常に高い
参照集団 11 レーダーから5m以内での作業の度合い:全くなし
集団 12 レーダーから5m以内での作業の度合い:低い
集団 13 レーダーから5m以内での作業の度合い:ある程度
集団 14 レーダーから5m以内での作業の度合い:高い
集団 15 レーダーから5m以内での作業の度合い:非常に高い

調査対象集団

調査規模

タイプ
合計 17,756
参加者 11,216
参加率 62 %
評価可能 10,497
統計学的分析方法: (調整: )

結論(著者による)

参加者の22%が、高周波アンテナから10m以内での高い、または非常に高い度合いでの作業、19%が通信機器から3m以内での作業、21%がレーダーから5m以内での作業を報告した。高周波アンテナから10m以内での高い、または非常に高い度合いでの作業を報告した男性では、不妊リスクが有意に高かった(OR 1.86;CI 1.46-2.37)。全ての年齢グループにおいて、無線周波の界への自己申告のばく露がより高いほど、意図せず子どもがいない状態がより高い、有意な線形の傾向があった。但し、子どもの数と無線周波放射へのばく露の度合いは関連していなかった。子どもの性比は、父親が高周波アンテナ及び通信機器へのばく露をより高い度合いで報告した場合、女児に対して男児の比率がより低い、有意な線形傾向を示した。

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