研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[低周波電磁放射と聴覚] med./bio.

Low frequency electromagnetic radiation and hearing

掲載誌: J Laryngol Otol 2009; 123 (11): 1204-1211

この研究は、モルモットモデルにおいて、コルチ器の外毛細胞に対する低周波および超低周波電磁界の考えられる影響を分析した。周波数50、500、1000、2000、4000、5000Hz、磁束密度1.5 μTのTEM波を、導波管を用いて生成した。実験に用いた体重100〜150gの雌雄のモルモットは、一般検査および耳検査で異常がなかった。総ばく露時間は、50、500、1000Hzの場合は360時間、2000Hzの場合は3300時間、4000Hzの場合は4820時間、5000Hzの場合は6420時間であった。各周波数のばく露群につき1匹の対照動物を使用した。電気応答聴力計を用いて、聴覚閾値、I-IV波の潜時、I-III波のピーク間潜時、90および50dBの音圧レベル強度でのI〜III波の出現率を測定した。その結果、上記のパラメータの値には、対照動物と各周波数ばく露群との間に有意差はなかった;正常なモルモットについての先行研究の知見と照らし合わせて、今回の知見との間に有意差は見られなかった、と報告している。

研究目的(著者による)

モルモットのモデルの外毛細胞に対して生じるかも知れない、低周波及び超低周波電磁界(50、500、1000、2000、4000、5000Hz)のインパクトを調べること。

詳細情報

モルモット34匹をばく露(各群4-8匹)し、群あたり1匹を対照として用いた。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 50 Hz–1 kHz
ばく露時間: continuous for 20 hr/day on 180 days
ばく露2: 2 kHz
ばく露時間: continuous for 20 hr/day on 165 days
ばく露3: 4 kHz
ばく露時間: continuous for 20 hr/day on 214 days
ばく露4: 5 kHz
ばく露時間: continuous for 16 hr/day on 390 days

ばく露1

主たる特性
周波数 50 Hz–1 kHz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
特性
  • far field
ばく露時間 continuous for 20 hr/day on 180 days
Additional information experiment performed with 50 Hz, 500 Hz and 1000 Hz
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
ばく露装置の詳細 electric and magnetic components of the electromagnetic wave in a plane perpendicular to the propagation direction
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
電界強度 471.4 V/m maximum - - -
磁束密度 1.569 µT maximum - - -
参照 - - - - U = 200 V max

ばく露2

主たる特性
周波数 2 kHz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
特性
  • far field
ばく露時間 continuous for 20 hr/day on 165 days
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • E1と同じ装置
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
電界強度 471.4 V/m maximum - - -
磁束密度 1.569 µT maximum - - -
参照 - - - - U = 200 V max

ばく露3

主たる特性
周波数 4 kHz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
特性
  • far field
ばく露時間 continuous for 20 hr/day on 214 days
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • E1と同じ装置
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
電界強度 471.4 V/m maximum - - -
磁束密度 1.569 µT maximum - - -
参照 - - - - U = 200 V max

ばく露4

主たる特性
周波数 5 kHz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
特性
  • far field
ばく露時間 continuous for 16 hr/day on 390 days
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • E1と同じ装置
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
電界強度 471.4 V/m maximum - - -
磁束密度 1.569 µT maximum - - -
参照 - - - - U = 200 V max

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
研究対象とした臓器系:
  • 感覚器
調査の時期:
  • ばく露中
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

このデータは、各群のばく露動物と対照動物で、調査したパラメータに有意差はないことを示している。
著者らは、50Hz-5kHz、磁束密度1.5µTの電磁界への長期ばく露は、モルモットのコルチ器官の外毛細胞に機能的または形態学的変化を何ら生じなかった、と結論付けた。

研究の種別:

研究助成

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