研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[パルス電磁界は新生仔ラット脊髄後根神経節ニューロンのL型電位依存性カルシウムチャネルおよびERK依存性シグナル伝達経路を介して脳由来神経栄養因子の発現を増強する] med./bio.

Pulsed electromagnetic field enhances brain-derived neurotrophic factor expression through L-type voltage-gated calcium channel- and Erk-dependent signaling pathways in neonatal rat dorsal root ganglion neurons.

掲載誌: Neurochem Int 2014; 75: 96-104

この研究は、脳由来神経栄養因子Bdnf)mRNA発現に対するパルス電磁界PEMF)の影響および細胞内遊離カルシウム濃度とBdnf mRNA発現相関関係を脊髄後根神経ニューロン(DRGNs)培養細胞で実験した。その結果、PEMF(50 Hz、1 mT)の2時間ばく露により、細胞内遊離カルシウム濃度とBdnf mRNA発現が増加した;Bdnf mRNA発現増加にはL型電位依存性カルシウムチャネルからのカルシウムイオン流入による細胞内遊離カルシウム増加という経路が介在していた、などを報告している。

研究目的(著者による)

50 Hzパルス電磁界ばく露による脊髄後根神経ニューロンでの脳由来神経栄養因子BDNF)の遺伝子発現における Ca2+の役割を調べ、神経分化に対するパルス電磁界促進的メカニズムの基礎となる作用メカニズムを探索すること。

詳細情報

基礎となるカルシウム関連の作用メカニズムを調べるため、磁界と下記の物質を用いた幾通りかの共ばく露実験を実施した:カルシウムチャネル遮断剤としてのニモジピン、ω-コノトキシンGVIA、ω-アガトキシンIVA、ミベフラジル、カルシウム貯蔵阻害剤としてのタプシガルジンおよびダントロレン、細胞シグナル調節キナーゼ(ERK)阻害剤としてのPD098059、ホスホリパーゼC阻害剤としてのU73122およびU73343、カルシウムキレート剤としてのBAPTA-ΑMおよびEGTA、カルシウム貯蔵放出剤としてのカフェイン細胞内カルシウム濃度低下に対するIP3遮断剤としてのネオマイシンカルシウム流入刺激するD-AP5およびMK801。ポジティブコントロールとして、電気刺激が用いられた。
細胞は5群に分けられた:1) 0.1 mT磁界へのばく露、2) 1 mT磁界へのばく露、3) 10 mT磁界へのばく露、4) 100 mT磁界へのばく露、5) 擬似ばく露
それぞれの試験は、別のラットから別の時期に作成された別個の、少なくとも3つの培養細胞で実施された。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 2 hours/day for 1 or 3 days
ばく露2: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 2 hours/day for 1 or 3 days
ばく露3: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 2 hours/day for 1 or 3 days
ばく露4: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 2 hours/day for 1 or 3 days

ばく露1

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • pulsed
ばく露時間 continuous for 2 hours/day for 1 or 3 days
Additional information sinusoidal
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
ばく露装置の詳細 solenoid was placed in a cell incubator; temperature was 37 °C
Sham exposure A sham exposure was conducted.
Additional information sham exposure samples were placed in a cell incubator containing the solenoid, which was "properly energized so as not to generate a pulsed magnetic field but eventually to produce the same heat as the coil used in the exposure condition"
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 0.1 mT - 測定値 - -

ばく露2

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • pulsed
ばく露時間 continuous for 2 hours/day for 1 or 3 days
Additional information sinusoidal
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • E1と同じ装置
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 1 mT - 測定値 - -

ばく露3

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • pulsed
ばく露時間 continuous for 2 hours/day for 1 or 3 days
Additional information sinusoidal
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • E1と同じ装置
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 10 mT - 測定値 - -

ばく露4

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • pulsed
ばく露時間 continuous for 2 hours/day for 1 or 3 days
Additional information sinusoidal
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • E1と同じ装置
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 100 mT - 測定値 - -

Reference articles

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
調査の時期:
  • ばく露中
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

Bdnf遺伝子発現は、実験群2-4での1日後、実験群1-4での3日後に、擬似ばく露群に比べ、有意に上昇した。

細胞内カルシウム濃度は、実験群2での1日後に、擬似ばく露群に比べ、有意に上昇した。

細胞カルシウムがEGTAまたはBAPTA-ΑMと結合している場合、またはカルシウム流入がニモピジンにより阻害されている場合、Bdnf遺伝子発現および細胞内カルシウム濃度が実験群2での3日後に、キレート剤またはカルシウムチャンネル遮断剤を用いない試料に比べ、有意に低下した。さらに、Bdnf遺伝子発現は、PD098059と共ばく露した実験群2での3日後に、何も添加しない試料に比べ、有意に低下した。

細胞生存率は、磁界ばく露単独、または磁界ばく露とニモピジンや PD098059との共ばく露により有意に影響されなかった。

著者らは、50Hzパルス磁界ばく露脊髄後根神経ニューロンでの脳由来神経栄養因子BDNF)の遺伝子発現を、カルシウム流入およびERK依存性の信号伝達経路の活性化を介して上昇させる可能性がある;パルス電磁界神経分化に対する促進効果の基礎的な作用メカニズムに関するこのような示唆は、今後の研究でより詳細に研究した方がよい、と結論している。

研究の種別:

研究助成

関連論文