[スイス鉄道労働者の尿中6ーハイドロキシ・メラトニン サルフェートに及ぼす16.7Hz磁界ばく露の効果] med./bio.

Effects of exposure to 16.7 Hz magnetic fields on urinary 6-hydroxymelatonin sulfate excretion of Swiss railway workers

掲載誌: J Pineal Res 1996; 21 (2): 91-100

<目的>磁界曝露がメラトニンに影響するか否かを66名の鉄道電気運転士と42名の車掌、駅員で尿中6-ハイドロキシ・メラトニン(6-OHMS)を測定して比較した。 <対象・方法>両群とも仕事をしていない時期の6-OHMSと仕事中の値を 比較した。このため”繰り返し測定デザイン”を用いた。スイス国鉄の電気運転士には本線の列車を運転する運転士(line engineer)と転徹、入れ替えの運転士(shunnting yard engineer)に分けられる。対照としたのは運転士と類似の労働条件をもつ車掌と駅員である。これら4職種とも交代勤務をする。Fig1に頭部、胸部、下腿部に曝露される磁界平均値を4職種について測定したものを示す。6-OHMSは勤務明けの日と勤務中に測定し、前者が各自のベースラインの値、後者が曝露中の値とした。平均14日の休暇(Table1)のあと、仕事についた最初の日(day1)、1週間後(week1)及び休暇中の最後の日(recovery)に測定した。夕方の採尿は18:00h、朝は6:00hとした。暦日休暇、年齢などはTable1にまとめた。採取した尿はドイツ・ハンブルグへ送られELISA法により6-OHMSの測定を行った。<結果・結論>朝765、夕方760計N=1525の尿サンプルを測定した。朝と夕方のサンプルはメラトニン概日リズムを反映している(表2)。Fig2に運転士と対照群の6-OHMSの朝と夕方の値を示すが、運転士の夕方の値のみがday1とweek1で有意に低く、recoveryの値は有意に高くリバウンドが見られた。day1とweek1とでは有意の差はなく、したがって蓄積効果は見られなかった。鉄道電気運転士で日中の6-OHMSが有意に低下するが夜間は変化がなかった。磁界の影響はメラトニンのリズムの相を変えると解釈できる。

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