[成獣ラットの聴覚脳幹反応に対する900 MHz無線周波放射への急性および慢性ばく露の影響] med./bio.

The effects of acute and chronic exposure to 900 MHz radiofrequency radiation on auditory brainstem response in adult rats

掲載誌: Electromagn Biol Med 2020; 39 (4): 374-386

この研究は、聴覚脳幹反応(ABR)に対する無線周波RF放射への短期的および長期的なばく露の影響を、成獣ラット脂質過酸化および抗酸化状態を評価することで調べた。雄のアルビノWistarラット60匹を無作為に以下の4群に割り付けた。S1:1週間の擬似ばく露群、S10:10週間の擬似ばく露群、E1:1週間のばく露群、E10:10週間のばく露群。各群を2時間/日、5日間/週、RFにばく露または擬似ばく露した。実験後、トーンバースト音響刺激を用いてラットの乳様突起からABRを記録した。ラットの脳の生化学的調査および側頭皮質の超微細構造分析を実施した。その結果、それぞれS1およびS10擬似ばく露群と比較して、E1ばく露群ではABR波Iの潜時の延長が、E10ばく露群では短縮が認められた。E1群ではチオバルビツール酸反応性物質(TBARS)のレベル上昇が、E10群ではレベル低下が認められた。対照的に、それぞれS1およびS10擬似ばく露群と比較して、E1群ではスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)およびカタラーゼ(CAT)の活性、ならびにグルタチオンGSH)のレベル低下が、E10群ではレベル上昇が認められた。E1群およびE10群では、ニューロンおよび星状細胞細胞質浮腫が認められた。これらの結果は、900 MHzのRF放射は聴覚系に負の影響を及ぼすかも知れないことを示唆している、と著者らは結論付けている。

ばく露