研究のタイプ: レビュー/サーベイ論文

[動植物に対する非電離電磁界の影響その3:ばく露基準、公共政策、法律、および将来の方向性] review

Effects of non-ionizing electromagnetic fields on flora and fauna, Part 3. Exposure standards, public policy, laws, and future directions

掲載誌: Rev Environ Health 2022; 37 (4): 531-558

このレビュー論文は、動植物に対する非電離電磁界の影響に関する三部構成の第三部である。この著者は、関連する法規制について以下のように論じている。
現代社会において利用されている、主にワイヤレス技術からの非電離電磁界の環境レベルが上昇し続けており、それは今やどこにでも存在する、生物学的に活発な環境汚染因子になっていることから、新たなばく露規制の方法が必要である。ヒトのばく露に対して政府が採用している基準の野生生物への適用可能性が調べられている。米国やカナダ、欧州全域で用いられている、国家環境政策報(NEPA)や渡り鳥保護条約法といった既存の環境法を、強化・実施することが望ましい。また、増加し続ける電磁界ばく露に対応するため、新たな法律の制定が望ましい。第5世代移動通信(5G)に用いられる新たな信号伝達特性に照らして、世界中の政府・当局に採用されている高周波RFばく露基準に、より厳格な管理を与えることが是認される。そのような規格では、野生生物は考慮されていない。多くの動植物種は、その生理学的特徴のため、ヒトの対応能力を超える外因性の電磁界に対して敏感であることがわかっている。そのようなばく露は、一部の動植物種において外因性の生体電気的状態に影響を及ぼし得るかもしれない。全ての周波数および分類群にわたる数多くの研究が、低レベルの電磁界ばく露には、動物の方向付け、移動、採餌、生殖、交尾、営巣、縄張りの維持、防衛、活力、寿命、生存などに対し、数多くの悪影響があることを示している。また、細胞毒性および遺伝毒性作用が観察されている。今や、環境中の電磁界を新たな形態の汚染と認識し、規制当局が大気を「生息地」と指定し、電磁界を他の汚染因子と同様に規制できるようにする規則を策定する時である。野生生物の喪失はしばしば目に見えず、転換点に達するまで文書化されない。電気生態学という新たな分野において強いインパクトを持つ技術の役割に関して、強固な対話を始める必要がある。上昇し続ける環境中の電磁界レベルを低減するため、野生生物に対する長期的で慢性的な低レベルの電磁界ばく露基準を制定することが望ましい。これには、ワイヤレスデバイスならびに社会基盤の再設計が含まれる(但しこれに限定されない)。

ばく露

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