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IH調理器

分類:
台所用品および家庭用電気機器
同義語:
IHクッキングヒータ
説明:

IH調理器の加熱プロセスは、誘導的に発生させられる渦電流が基になっている。そのため、セラミック調理台の下に、交流磁界を発生するコイルが置かれている。この交流磁界が、調理台表面上に置かれた金属製調理鍋に渦電流誘導し、鍋は電気抵抗のために発熱する。IH調理器への適合表示のある調理鍋のみが使用可である。適合する調理器は、典型的には、鉄、コバルトあるいはニッケルのような強磁性材料で作られており、鍋底面の外側域に交流磁界を押しやる。この現象(表皮効果という)は鍋の電気抵抗を高め、調理プロセスを促進する。交流磁界による磁化の変化で生じるヒステリシス効果も加熱プロセスに寄与する。調理鍋が交流磁界の一部を取り込めなくなるため、調理台面での鍋の位置は調理プロセスおよび調理している人のばく露の両面で非常に重要である。最小の調理時間および最小の磁界ばく露のために、鍋は指定されたエリアに正確に置かなければならない。それに反して、半径が小さいために指定のエリアを覆うことができないコーヒーポットの場合、最小ばく露に最適の位置は中心をずらしたところになる。

特に明記しない限り、動作周波数は測定された周波数で示されたとした。すなわち、測定はIH調理器の動作周波数で行われた。

電磁界の種別:
電界および磁界

測定値(文献に拠る)

測定されている物理量 測定値 分類上の特徴 特記事項
電界強度 0.111 mV/m (最大値, シミュレーション値) 動作周波数: 35 kHz 妊婦の全身での最大値 (胎児を含む) [1]
電界強度 0.037 V/m (最大値, シミュレーション値) 動作周波数: 105 kHz 妊娠26週、体重 50 kg の妊婦の身体 [1]
電界強度 0.093 V/m (最大値) 動作周波数: 35 kHz 6歳、体重 19 kgの男児でシミュレーション計算した最大値 [1]
電界強度 0.111 V/m (最大値, シミュレーション値) 動作周波数: 35 kHz 妊娠26週、体重 50 kg の妊婦の身体 [1]
電界強度 0.218 V/m (最大値, シミュレーション値) 動作周波数: 105 kHz 妊娠30週、体重 90 kg の妊婦の身体 [1]
電界強度 0.281 V/m (最大値, シミュレーション値) 動作周波数: 35 kHz 6歳、体重 19 kgの男児の身体 [1]
電界強度 0.66 V/m (最大値, シミュレーション値) 動作周波数: 35 kHz 妊娠30週、体重 90 kg の妊婦の身体 [1]
電界強度 0.752 V/m (最大値, シミュレーション値) 動作周波数: 105 kHz 11歳、体重 36 kg の女児の身体 [1]
電界強度 2.28 V/m (最大値, シミュレーション値) 動作周波数: 35 kHz 11歳、体重 36 kg の女児の身体 [1]
電界強度 4.3–4.9 V/m (測定値) 動作周波数: 22 - 34 kHz 距離 30 cm [2]
電界強度 10 V/m (最大値) 動作周波数: 20-60 kHz 距離 10 cm [3]
電界強度 220 V/m (最大値, 測定値) 測定バンド幅:5 Hz - 32 kHz 4個の鍋を加熱中のIH調理器の中央で測定 [4]
電流密度 4 mA/m² (最大値, 測定値) 動作周波数: 20kHz 距離 30 cm [5]
電流密度 5.2 mA/m² (最大値, 測定値) 動作周波数: 105 kHz 11歳、体重 36 kg の女児の身体 [1]
電流密度 8 mA/m² (最大値, 測定値) 動作周波数: 20kHz 距離 20 cm [5]
電流密度 9 mA/m² (最大値, シミュレーション値) 動作周波数: 105 kHz 妊娠30週、体重 90 kg の妊婦の身体 [1]
電流密度 14 mA/m² (最大値, シミュレーション値) 動作周波数: 105 kHz 妊娠30週、体重 90 kg の妊婦の身体 [1]
電流密度 15 mA/m² (最大値, シミュレーション値) 動作周波数: 105 kHz 妊娠26週、体重 50 kg の妊婦の身体 [1]
電流密度 16 mA/m² (最大値, シミュレーション値) 動作周波数: 35 kHz 11歳、体重 36 kg の女児の身体 [1]
電流密度 27 mA/m² (最大値, シミュレーション値) 動作周波数: 35 kHz 6歳、体重 19 kgの男児の身体 [1]
電流密度 30 mA/m² (最大値, 測定値) 動作周波数: 20 kHz 距離 10 cm [5]
電流密度 42 mA/m² (最大値, シミュレーション値) 動作周波数: 35 kHz 妊娠30週、体重 90 kg の妊婦の身体 [1]
電流密度 46 mA/m² (最大値, シミュレーション値) 動作周波数: 35 kHz 妊娠26週、体重 50 kg の妊婦の身体 [1]
電流密度 90 mA/m² (最大値, 測定値) 動作周波数: 20 kHz 装置の端部 [5]
磁界強度 0.7–1.6 A/m (測定値) 動作周波数: 22 - 34 kHz 距離 30 cm [2]
磁界強度 0.7–1.6 A/m (測定値) 動作周波数: 26 - 29 kHz 距離 30 cm [2]
磁束密度 0.7 µT (測定値) 動作周波数: 20.3 kHz 距離 235mm, 出力2.5 kWのコイル 1個口 [6]
磁束密度 2–6 µT (最大値) 動作周波数: 15 - 25 kHz 距離 20 cm [7]
磁束密度 2 µT (最大値, 測定値) 動作周波数: 15 - 25 kHz 距離 50 cm [7]
磁束密度 2.596 µT (測定値) - 中心をずらして置かれた鍋からの距離 25 cm;左側面での測定;中心を合わせて置かれたコーヒーポットの場合の磁束密度0.25 µTと比較のこと。 [8]
磁束密度 2.7 µT 動作周波数: 22.5 kHz 距離 170 mm, 出力 6 kWのコイル 1個口 [6]
磁束密度 3.02 µT (測定値) - 中心をずらして置かれたコーヒーポットからの距離0 cm;前面での測定;中心を合わせて置かれたコーヒーポットの場合の磁束密度14.9 µTと比較のこと。 [8]
磁束密度 3.75 µT (測定値) - 中心をずらして置かれたコーヒーポットからの距離0 cm;左側面での測定;中心を合わせて置かれたコーヒーポットの場合の磁束密度20.8 µTと比較のこと。 [8]
磁束密度 4–25 µT (最大値) 動作周波数: 15 - 25 kHz ソースパンの底の表面 [7]
磁束密度 5 µT (最大値, 測定値) 動作周波数: 20 kHz 鍋からの距離 20 cm、鍋の位置:指定エリアに一致している [9]
磁束密度 5.15 µT (測定値) - 中心をずらして置かれた鍋からの距離0 cm;左側面での測定;中心を合わせて置かれたコーヒーポットの場合の磁束密度0.47µTと比較のこと。 [8]
磁束密度 5.264 µT (測定値) - 中心をずらして置かれた鍋からの距離 25 cm;前面での測定;中心を合わせて置かれたコーヒーポットの場合の磁束密度0.346 µTと比較のこと。 [8]
磁束密度 6.1 µT (測定値) 動作周波数: 20.3 kHz 距離 190 mm, 出力 5 kWのコイル 1個口 [6]
磁束密度 6.4 µT (測定値) - 中心をずらして置かれたコーヒーポットからの距離0 cm;背面での測定;中心を合わせて置かれたコーヒーポットの場合の磁束密度28µTと比較のこと。 [8]
磁束密度 6.7 µT (測定値) 動作周波数: 19.5 kHz 距離 260mm, 出力5 kWのコイル1個口 [6]
磁束密度 6.75 µT (最大値, シミュレーション値) 動作周波数: 20 kHz 距離 30 cm [5]
磁束密度 7.695 µT (測定値) - 中心をずらして置かれた鍋からの距離0 cm;背面での測定;中心を合わせて置かれたコーヒーポットの場合の磁束密度0.42µTと比較のこと。 [8]
磁束密度 8.2 µT (測定値) 動作周波数: 19.5 kHz 距離 190 mm, 出力 7 kWのコイル 1個口 [6]
磁束密度 9.3–47 µT (最大値, 測定値) 動作周波数: 20 kHz, mb: 30 Hz - 400 kHz 前方左のクッキングプレート加熱中に、前方右のプレートの位置で測定 [10]
磁束密度 9.5–61 µT (測定値) 動作周波数: 20 kHz, mbw: 30 Hz - 400 kHz 前方右のクッキングプレート加熱中に、その加熱中のプレートの前で測定 [10]
磁束密度 10.494 µT (測定値) - 中心をずらして置かれたコーヒーポットからの距離0 cm;右側面での測定;中心を合わせて置かれたコーヒーポットの場合の磁束密度41.18 µTと比較のこと。 [8]
磁束密度 11.217 µT (測定値) - 中心をずらして置かれた鍋からの距離0 cm;右側面での測定;中心を合わせて置かれたコーヒーポットの場合の磁束密度0.767µTと比較のこと。 [8]
磁束密度 13.6 µT (測定値) - 中心をずらして置かれた鍋からの距離0 cm;前面での測定;中心を合わせて置かれたコーヒーポットの場合の磁束密度1.536µTと比較のこと。 [8]
磁束密度 19.4 µT (測定値) 動作周波数: 22.5 kHz 距離 210mm、コイル 4個の合計出力 9 kW [6]
磁束密度 20 µT (最大値, 測定値) 動作周波数: 20 kHz 距離 30 cm [5]
磁束密度 21.8 µT (測定値) 動作周波数: 22.5 kHz 距離 170 mm、コイル4個の合計出力 9 kW [6]
磁束密度 22.4 µT (測定値) 動作周波数: 21.8 kHz 距離 210mm, 出力3.5 kWのコイル2個口 [6]
磁束密度 22.9 µT (測定値) 動作周波数: 21.8 kHz 距離 170 mm、コイル4個の合計出力 9 kW [6]
磁束密度 23.2 µT (測定値) 動作周波数: 19.5 kHz 距離 180 mm, 出力3.5 kWのコイル2個口 [6]
磁束密度 27.4 µT (測定値) 動作周波数: 19.5 kHz 距離 160 mm, 出力3.5 kWのコイル2個口 [6]
磁束密度 29.9 µT (測定値) - 中心をずらして置かれた鍋からの距離0 cm;背面での測定;中心を合わせて置かれたコーヒーポットの場合の磁束密度4.2µTと比較のこと。 [8]
磁束密度 40 µT (最大値) 動作周波数: 20 kHz 加熱レベル 5 (9段階の)の鍋からやや傾斜した距離 20 cm、鍋の位置:指定エリアと中心がずれている [9]
磁束密度 47.8 µT (測定値) - 中心をずらして置かれた鍋からの距離0 cm;右側面での測定;中心を合わせて置かれたコーヒーポットの場合の磁束密度7.46µTと比較のこと。 [8]
磁束密度 52.9 µT (測定値) 動作周波数: 19.5 kHz 距離 260mm, 出力3.5 kWのコイル 2個口 [6]
磁束密度 55–84 µT (測定値) 動作周波数: 20 kHz, mbw: 30 Hz - 400 kHz 1個口のクッキングプレートの中で測定 [10]
磁束密度 60 µT (最大値, 測定値) 動作周波数: 20 kHz 装置の縁 [5]
磁束密度 72 µT (最大値) 動作周波数: 20kHz 加熱レベル 5 (9段階の)の鍋からの距離 20 cm、鍋の位置:指定エリアと中心がずれている [9]
磁束密度 300 µT (最大値, シミュレーション値) 動作周波数: 20 kHz 装置の縁 [5]
磁束密度 4,000–9,000 µT (最大値) 測定バンド幅:5 Hz - 2 kHz - [11]
磁束密度 8.032 mT (最大値, 計算値) - 装置表面:50 Hz [12]
磁束密度 0.07 T (最大値) 測定バンド幅:50 Hz - 10 kHz - [13]

参考文献

  1. Kos B et al. (2011): [IH調理器から発生する電磁界への胎児と子供のばく露]
  2. Mantiply ED et al. (1997): [一般及び作業環境中でのラジオ周波数電界と磁界(10 kHz~30 GHz)の測定]
  3. Swerdlow AJ et al. (2012): [無線周波電磁界による健康影響:RCE 20]
  4. Leitgeb N et al. (2008): [家電製品からの電気放射]
  5. Christ A et al. (2012): [基本制限と比較した業務用及び家庭用IH調理器への人体のばく露]
  6. Guldimann R et al. (2011): [業務用IH型ホットプレートからの磁界ばく露:職業ばく露に対する健康防護:2009/2010年における美食学の職場での測定]
  7. Rickli H et al. (2003): [誘導式オーブンと電磁干渉:ペースメーカ装着者のリスクは何か]
  8. Bullo M et al. (2013): [IH調理器が発生する浮遊電磁界の分析]
  9. Binggeli C et al. (2005): [電磁調理器と電磁干渉:植込み型除細動装着患者のリスクは何か]
  10. Viellard C et al. (2007): B-Field Exposure From Induction Cooking Appliances. ITIS-Foundation
  11. Leitgeb N et al. (2008): [家電製品の磁気放出]
  12. Leitgeb N et al. (2008): [家電製品の磁気放出格付け。包括的市場調査]
  13. Tenforde TS (1992): [送電線やその他の発生源からの低周波磁界の生物学的相互作用と健康影響]