研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[ヒトの運動行動に対する低強度磁界の影響] med./bio.

Effect of a low intensity magnetic field on human motor behavior

掲載誌: Bioelectromagnetics 2005; 26 (8): 657-669

この研究は、ヒトの頭部の位置で約1mTの50 Hzの正弦波磁界へのばく露が人差し指の微小変動(振戦)に及ぼす影響をボランティア実験で調べた。フランスのElectricitéde France(EDF)の従業員24人が実験に参加した。一辺1.6 mの方形コイルを間隔1.1 mで並行に配置し、発生磁界の中心(約1mT)が被験者の頭部に位置するように座った。14分間のばく露(または擬似ばく露セッションを3分間の休憩を挟んで4回繰り返した。それぞれの14分間のばく露(または擬似ばく露セッションでは4回のオン/オフが繰り返された。それらのシーケンス中、姿勢性および運動性振戦を記録した。姿勢性および運動性振戦それぞれの8つおよび4つの特性を記録の時系列で算出し、統計分析した。その結果、運動性振戦に対するMFの効果は見られなかった;姿勢性振戦に関しては、低周波(2〜4 Hz振動の割合が、擬似ばく露シーケンス中よりも真のばく露シーケンスにおいて高かった(P <.05);この知見は、MFがヒトの行動に微妙な遅延性の影響を持つ可能性があることを示唆しているが、これは明らかに病理学的なものではない、と報告している。

研究目的(著者による)

ヒトの運動行動に対する、頭部のレベルを中心とする50Hz磁界(1000µT)の影響(生理的振戦)を判定すること。

詳細情報

生理的振戦は、身体四肢の不随意、不規則、連続的な動きと定義できる。これは振幅と周波数で特徴付けられる。姿勢を維持しなければならない時に生じる振戦(姿勢振戦)と、目標に向かう動きの際に生じる振戦(動的振戦)は異なる神経経路を暗示しているようである。

フランス電力公社の24人の男性職員が実験を完遂した。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 50 Hz
ばく露時間: 4 times 14 min with a 3 min interval between them = 65 min; 4 on/off transitions during each 14 min sequence

General information

the following conditions were tested: i) postural tremor under real exposure ii) postural tremor under sham exposure iii) kinetic tremor under real exposure iv) kinetic tremor under sham exposure.

ばく露1

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 4 times 14 min with a 3 min interval between them = 65 min; 4 on/off transitions during each 14 min sequence
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • two parallel 1.6 m side square coils, 1.1 m apart
ばく露装置の詳細 A subject sat on a plastic chair placed in the middle of the MF generating device which generated a continuous and homogeneous MF centered at the level of the head, but the trunk and arms were also exposed.
Sham exposure A sham exposure was conducted.
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 1 mT unspecified 校正 - -

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
調査の時期:
  • ばく露中
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

動的振戦については、磁界の影響は認められなかった。

姿勢振戦に関しては、実ばく露では偽ばく露シークエンスよりも低周波(2-4Hz)の振動の比率が高かった。

磁界はヒトの行動に対し、明らかに病理学的ではない僅かな遅延作用を生じ得ることが示唆された。新たなばく露限度の策定の際は、これらの知見を考慮すべきである。

研究の種別:

研究助成

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