研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[50 Hz磁界はイガイの免疫細胞p38 MAPキナーゼを活性化し、HSP70および90を誘導する] med./bio.

50 Hz magnetic fields activate mussel immunocyte p38 MAP kinase and induce HSP70 and 90

掲載誌: Comp Biochem Physiol C Toxicol Pharmacol 2004; 137 (1): 75-79

この研究は、50 Hz磁界が、ムラサキイガイ(Mytilus galloprovincialis)の免疫細胞における熱ショックタンパク質(HSP70およびHSP790)の発現誘導するか否かを実験で調べた。HSPの発現は、ウエスタンブロット法での濃度測定により行なった。磁束密度は300、400、600 μTとし、かつそれぞれのレベルでのばく露時間は30、60、90分間の3通りで実験した。その結果、300 μTの場合、いずれのばく露時間でも無ばく露対照群に比べてHSP濃度に差は見られなかった;400 μTの場合、ばく露群において、ばく露時間に依存したHSP濃度の上昇が示された;600 μTの場合、対照群に比べてHSP濃度は有意に高かったが、ばく露時間との関係は見られなかった、と報告している。

研究目的(著者による)

免疫細胞の機能性に対する異なる強度の超低周波磁界への反復ばく露の蓄積作用を調査すること。

詳細情報

イガイ(5匹)を様々な強度の50Hz磁界に異なる時間ばく露した。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 50 Hz
ばく露時間: 30 min - once, twice or thrice with an interval of 3 h

ばく露1

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
ばく露時間 30 min - once, twice or thrice with an interval of 3 h
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
ばく露装置の詳細 pair of Helmholtz coils consisting of two horizontal PVC coated coils (10 cm x 10 cm, 1400 turns of 0.2 mm copper wire), separated by 13 cm
Sham exposure A sham exposure was conducted.
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 300 µT - 測定値 - -
磁束密度 400 µT - 測定値 - -
磁束密度 600 µT - 測定値 - -

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
研究対象とした臓器系:
調査の時期:
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

ばく露のイガイと比較して、3つの異なる時間で300µTにばく露したイガイには、熱ショックタンパク質発現に差は認められなかった。400µTでは、ばく露したイガイに熱ショックタンパク質発現の時間依存性の増加が認められた。600µTへのばく露後、熱ショックタンパク質発現対照群よりも有意に高くなったが、ばく露時間には依存しなかった。熱ショックタンパク質誘導は、p38 MAPキナーゼシグナル伝達経路の活性化に付随して生じる。p38 MAPキナーゼリン酸化も同様に、ばく露強度に依存したが、ばく露時間には依存しなかった。

これらの知見は、磁界ばく露による熱ショックタンパク質発現変調の可能性を示唆している。3つのばく露時間の全てで、磁界強度400µTへのばく露だけが蓄積作用を生じ、HSP70及びHSP90の漸増を生じた。

研究の種別:

研究助成

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