研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[磁界(50Hz、17.9μT)に慢性ばく露したラットにおける痛覚閾値:スクロース摂取の影響] med./bio.

Threshold of pain in chronic magnetic field- (50 Hz, 17.9 microT) exposed rats: effect of sucrose ingestion

掲載誌: Electromagn Biol Med 2008; 27 (3): 254-265

この研究は、ショ糖摂取が磁界MFばく露による鎮痛作用を増強するか否かを調べた。元来、MFばく露およびショ糖摂取はどちらも、オピオイドを介した鎮痛作用を独立して引き起こす。疼痛閾値は、尾の引っ込め行動(テールフリック閾値:TF)、刺激中の発声(VD)および刺激後の発声(VA)に基づいて決定された。疼痛閾値の測定は、測定開始から0、5、10、15、30、45、60分の時点の7回のセッションで測定した(対照群)。次に、24時間の間隔をあけて、ラットにショ糖溶液を与え、10分間それを摂取させてから、7回の疼痛閾値測定を行なった(対照のショ糖摂取群)。その次に、ラット磁界ばく露(50 Hz、17.9 μT)を8時間/日で7日間与えてから、7回の疼痛閾値測定を行なった(MFばく露群)。最後に24時間の間隔をあけて、ラットにショ糖溶液を与え、10分間それを摂取させてから、7回の疼痛閾値測定を行なった(MF +ショ糖摂取群)。その結果、疼痛の基礎閾値セッション1(0分))には対照群とMFばく露群の間での差はなかった;セッション2 - 7での疼痛閾値は、対照群では変動しなかったが、MFばく露群では上昇し、対照群に比べて高くなった;対照のショ糖摂取群では、TFの閾値が上昇したが、MF +ショ糖摂取群では上昇しなかった;その一方、VAおよびVDの閾値は、MF +ショ糖摂取群に比べ、対照のショ糖摂取群において上昇した;これらの知見から、7日間のMFばく露は、痛みの基礎閾値に影響を及ぼさず、ストレス誘発性鎮痛作用を増加させ、ショ糖摂取誘発性鎮痛作用を減弱させたことが示唆される、と報告している。

研究目的(著者による)

超低周波磁界慢性ばく露したラットにおける痛み閾値に対する、急性のショ糖投与の影響、及び、ショ糖投与が磁界ばく露の無痛覚を増強するかどうかを調べること。

詳細情報

磁界ばく露及びショ糖投与は共に、オピオイド介在性の無痛覚を独立して生じ得る。
ラット(n=6)を4つの実験条件で調べた:1) 偽ばく露(1-7日目)、2) 対照のショ糖投与(9日目)、3) 磁界ばく露(10-16日目)、4) 磁界ばく露+ショ糖投与(17日目)。7回のセッション(0、5、10、15、30、45、60分)での21回の不快な電気刺激により、侵害受容行動を調べた。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 8 h/day for 7 days

ばく露1

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
ばく露時間 continuous for 8 h/day for 7 days
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
ばく露装置の詳細 two outer coils with 18 turns each, two inner coils with 8 turns each; 38 cm x 24 cm x 15 cm polypropylene cage placed in the center of the coils system
Sham exposure A sham exposure was conducted.
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 17.9 µT effective value - - -

Reference articles

  • Kirschvink JL (1992): [均一磁界とダブル巻きコイルシステム:生体電磁気実験のための設計改善技術]

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
研究対象とした臓器系:
調査の時期:
  • ばく露前
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

グループ1)vs.3):(0分での)痛みの基礎閾値対照群磁界ばく露群で変わらなかった。セッション2-7では、痛み閾値対照群では変わらなかったが、ばく露ラットでは上昇した。ばく露ラット痛み閾値対照群よりも高くなった。

グループ2)vs.4):ショ糖投与対照群vs.磁界ばく露+ショ糖投与群では、対象ラット尾の反応の閾値が上昇したが、ばく露群では上昇しなかった。刺激中及び刺激後の発声の閾値は、ばく露群よりも対照群で高くなった。

この結果は、7日間の磁界ばく露痛みの基礎閾値に影響しないが、(不快な刺激の反復による)ストレスによる無痛覚を強めることを示唆している。磁界ばく露ラットのショ糖投与は無痛覚を強めず、ストレスによる無痛覚を減じた。慢性的な磁界ばく露下では、オピオイド介在性の行動が損なわれるかも知れない。

研究の種別:

研究助成

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