研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[電磁界への職業ばく露と男女で異なるぶどう膜メラノーマのリスク] epidem.

Occupational exposure to electromagnetic fields and sex-differential risk of uveal melanoma

掲載誌: Occup Environ Med 2010; 67 (11): 751-759

この研究は、電磁界EMF)への職業ばく露とブドウ膜メラノーマのリスクの関連について、欧州9ヶ国で症例対照研究を実施した。ブドウ膜メラノーマ症例293人とその対照3198人(人口対照または院内対照。国、5年間の出生コホート、性別について度数マッチングさせた)。対象者の就労経験を調査(高圧送電施設、コンピュータ画面、電気機器の周辺や複雑な電気的環境内での労働)とスカンジナビア職業-ばく露マトリックスに基づき生涯累積EMFばく露量を推定した。性別と目の色(暗色と明色)で層化、潜在的交絡因子を調整して、条件なしロジスティック回帰分析を行った。その結果、送電施設へのばく露があった女性でリスク上昇が見られた(OR= 5.81、95% 信頼区間1.72~19.66);男女共、制御室へのばく露とのポジティブな関連が見られたが、リスク上昇が最大になったのは目の色が暗色の人に限られた;生涯累積ばく露推定値で見た場合、男性より女性の方がリスク上昇が大きく、それは目の色が暗色の人に限られた、などを報告している。

研究の目的(著者による)

電磁界への職業ばく露ぶどう膜メラノーマリスクとの男女別の関連を調査するため、症例対照研究を実施した。

詳細情報

電磁界へのばく露は職歴についてのアンケートで評価した。生涯の累積の磁界強度は、スカンジナビアの職業-ばく露マトリクスに基づいて各々の職業と期間を合計した。

男女別、ならびに瞳の色別にデータを分析した。これは、黒い瞳は一般にぶどう膜メラノーマに対して防護的であると考えられているためである。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (オッズ比(OR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 個々の電磁界発生源に非ばく露
集団 2 送電設備へのばく露(グループ3及び4を含む)
集団 3 変圧器及び変電所
集団 4 架空高圧電力線
集団 5 電気機械へのばく露(グループ6及び10を含む)
集団 6 工作機械
集団 7 オーブンまたは窯
集団 8 リフティングトラック
集団 9 その他の電気機械
集団 10 溶接装置
集団 11 複雑な電子機器のある部屋でのばく露(グループ12及び15を含む)
集団 12 コンピュータ室
集団 13 制御室またはコンピュータ室
集団 14 電話交換機
集団 15 複雑な医療機器のある部屋
集団 16 コンピュータ画面へのばく露
集団 17 レーダーユニットへのばく露
集団 18 累積磁界ばく露(µT‐年): ≥ 5thパーセンタイル
集団 19 累積磁界ばく露(µT‐年): ≥ 10thパーセンタイル
集団 20 累積磁界ばく露(µT‐年): ≥ 20thパーセンタイル
集団 21 累積磁界ばく露(µT‐年): ≥ 30thパーセンタイル
集団 22 累積磁界ばく露(µT‐年): ≥ 40thパーセンタイル
集団 23 累積磁界ばく露(µT‐年): ≥ 50thパーセンタイル
集団 24 累積磁界ばく露(µT‐年): ≥ 60thパーセンタイル
集団 25 累積磁界ばく露(µT‐年): ≥ 70thパーセンタイル
集団 26 累積磁界ばく露(µT‐年): ≥ 80thパーセンタイル
集団 27 累積磁界ばく露(µT‐年): ≥ 90thパーセンタイル
集団 28 累積磁界ばく露(µT‐年): ≥ 95thパーセンタイル
集団 29 累積磁界ばく露(µT‐年): ≥ 97thパーセンタイル

調査対象集団

症例集団

対照集団

調査規模

症例 対照
適格者 323 3,372
参加者 293 3,198
統計学的分析方法: (調整: )

結論(著者による)

送電設備にばく露された女性には、ぶどう膜メラノーマリスク上昇が認められた(OR 5.8;CI 1.72-19.66)。複雑な電気環境へのばく露についてリスク上昇が認められた。瞳の色が濃い女性では、瞳の色が薄い女性と比較して、より強いリスク上昇が認められた。
著者らは、電磁界への職業ばく露は、特に瞳の色が濃い女性においてぶどう膜メラノーマリスクを高めるかも知れない、と結論付けている。

研究の限界(著者による)

この知見は、特に女性について少ない数に基づいているため、細心の注意を払って解釈すべきである。

研究助成

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