研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[DMBAで誘導したラットの乳がん発がんにおける50 Hz、100μT磁界ばく露の影響についての組織病理学的研究] med./bio.

A histopathological study on alterations in DMBA-induced mammary carcinogenesis in rats with 50 Hz, 100 muT magnetic field exposure

掲載誌: Carcinogenesis 1995; 16 (1): 119-125

この研究は、50または60Hz磁界ばく露が、ラット乳がんをイニシェート、プロモート、またはコプロモートできるか否かを実験的に調べた。216匹の雌のSprague-Dawleyラットを4つの群に分けた。これらの群のうち2群(それぞれ99匹)は、7,12-ジメチルベンズアントラセン(DMBA)の経口投与後に、磁界ばく露(または擬似ばく露)を受けた。ばく露した磁界は、50 Hz、100 µTで、 24 時間/日、 7日/週、91日間継続した。.他の2群(それぞれ9匹)は、DMBA処置なしで、同様の磁界ばく露または擬似ばく露を受けた。全てのばく露終了後に剖検して、病理組織学診断を行った。その結果、剖検時の肉眼的観察では、DMBA処理+磁界ばく露群の方がDMBA処理+磁界ばく露無しの対照群よりも乳がん病巣の数が多く、腫瘍サイズも大きかった;乳腺組織病理学的検査では、新生物病変および非新生物病変の数に、両群で有意差がなかった;このことは、磁界ばく露は乳房病変の発生率を変えず、腫瘍成長の加速のみを引き起こすことを示唆する(これは、コプロモート効果と一貫性がある); 磁界ばく露群では、対照群に比べ、悪性乳がんを呈したラットの数が有意に多かった(これは、磁界ばく露がDMBA誘発性病変のプログレッションに影響したことを示唆する); DMBA誘発による乳がんまたはその他の臓器原発巣からの転移の数に磁界ばく露の影響は見られなかった;DMBA処置無しのラットでは、非新生物性または新生物性病変は検出されなかった、と報告している。

研究目的(著者による)

50Hz磁界ばく露にはDMBAで誘発させた乳がんの成長または増殖を支援する作用があるかどうかを調査すること。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 50–60 Hz
ばく露時間: 24 h/day, 7 days/week for 91 days

General information

Animals were treated in 4 groups: i) application of dimethylbenz[a]anthracene + EMF exposure ii) application of dimethylbenz[a]anthracen, no EMF exposure iii) EMF exposure iv) neither application of dimethylbenz[a]anthracen nor EMF exposure

ばく露1

主たる特性
周波数 50–60 Hz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 24 h/day, 7 days/week for 91 days
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
ばく露装置の詳細 four 1.0 m square coils with 11 turns of 1.5 mm² copper wire on the innner coil and 26 turns of this wire on the outer coil
Sham exposure A sham exposure was conducted.
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 100 µT - 測定値 - -

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
研究対象とした臓器系:
  • 乳房
調査の時期:
  • ばく露中
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

本研究では合計216匹のラットを用いて、これを4群に分けた:グループA) 99匹、DMBA処理、磁界ばく露。グループB) 99匹、DMBA処理、磁界ばく露。グループC) 9匹、DMBA非処理、磁界ばく露。グループD) 9匹、DMBA非処理、磁界ばく露

ばく露の前に最初のDMBA(ラット1匹当たり5mg)を適用し、ラット1匹当たり20mgになるまで、1週間隔で更に3回適用した。

91日間の磁界ばく露/偽ばく露後に組織病理学的検査を実施した。磁界ばく露、DMBA処理群では、DMBA非処理の対照と比較して、肉眼で見える乳腺腫瘍が有意に多かった。磁界ばく露群では腫瘍の大きさも有意に大きかった。腫瘍性及び非腫瘍性病変の数は両群で有意差はなかった。
磁界ばく露群では、乳腺腫瘍のある動物が有意に多かった。このデータは、DMBA処理した雌のラットの長期間の50Hz磁界ばく露乳腺腫瘍増殖進行をプロモートすることを示しているが、腫瘍発生率には影響しなかった。

研究の種別:

研究助成

Replication studies

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