研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[電磁界にばく露されたアメリカチョウゲンボウにおける酸化ストレスの証拠] med./bio.

Evidence of oxidative stress in American kestrels exposed to electromagnetic fields

掲載誌: Environ Res 2001; 86 (2): 198-207

この研究は、電磁界EMFばく露が、鳥類に免疫反応を引き起こし、酸化ストレスレベルを変化させるか否かを実験で調べた。飼育されているオスのチョウゲンボウを対照群ばく露群に分け、ばく露群は、野生のチョウゲンボウが経験するものと同等のEMF条件下で飼育された。その結果、短期(1繁殖期)のEMFばく露では、繁殖期の前半に、血漿タンパク質、ヘマトクリット、およびカロチノイドが低下した;また、前半に赤血球細胞およびリンパ球の割合が低下した;繁殖期の終わりに、顆粒膜の割合が増加した;長期(2繁殖期)のEMFばく露では、繁殖期の前半に、ヘマトクリットが低下した;以上の知見から、短期EMFばく露を受けた鳥のみが免疫反応を経験することが示された、と報告している。

研究目的(著者による)

電力線由来と同様の電界及び磁界へのばく露が、アメリカチョウゲンボウに免疫応答を誘発し、酸化ストレスのレベルを変化させるかどうかを調べること。

詳細情報

2つの実験を実施した。ばく露の短期的(1回の繁殖期)影響について、つがいを無作為にばく露群と偽ばく露群に割り当てた(各群25組)。長期的(2回の繁殖期)影響については、13組のつがいを対照群、15組をばく露群とした。本研究では雄のチョウゲンボウのみを用いた。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 60 Hz
ばく露時間: 23.5 h/day for 91 days

ばく露1

主たる特性
周波数 60 Hz
タイプ
  • electric field
  • magnetic field
ばく露時間 23.5 h/day for 91 days
Additional information equivalent to those fields experienced by free-ranging kestrels when nesting under 735-kV transmission lines running at peak capacity
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • 詳細不明
チャンバの詳細 each pair was housed in a similar sized pen (0.7 x 0.7 x 1.2 m)
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
電界強度 10 kV/m - - - -
磁束密度 30 µT - - - -

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
調査の時期:
  • ばく露中

研究の主なアウトカム(著者による)

1回の繁殖期ばく露された雄のチョウゲンボウでは、対照群と比較して、血漿中の総タンパク質レベル、ヘマトクリット値赤血球リンパ球、カロチノイドの有意な減少が認められたが、顆粒膜細胞の総数は有意に増加した。総タンパク質、ヘマトクリット及びカロチノイドの抑制は、繁殖期の前半に生じた。

2回の繁殖期ばく露された雄のチョウゲンボウでは、対照群と比較して、繁殖期の前半にヘマトクリットが有意に減少した。

著者らは、送電線由来のものと同様の電界及び磁界への短期的ばく露は、アメリカチョウゲンボウに免疫応答を誘発するようであると結論付けている。加えて、短期的及び長期的ばく露酸化ストレスを生じ得る。

研究の種別:

研究助成

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