研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[米国の大規模、人口ベースの症例対照研究における電磁界への職業ばく露と乳がんのリスク] epidem.

Occupational Exposure to Electromagnetic Field and Breast Cancer Risk in a Large, Population-Based, Case-Control Study in the United States.

掲載誌: J Occup Environ Med 2007; 49 (3): 266-274

【目的】本研究は、職場で電磁界(EMF)にばく露した女性と乳がんの危険性を評価する目的で行われた。【方法】乳がん診断された女性(n=6213)と年齢を対応させて無作為に選択された対照群(n=7390)から、乳がんの危険要因に関する情報と職歴を収集した。有資格の産業衛生士がEMFばく露の各職業をバックグラウンド、低、中、高に分類した。【結果】バックグラウンドばく露の参照値と比較した場合、年齢と居住状態で調整されたオッズ比は、低ばく露では1.06(95%CI=0.99-1.14)、中ばく露では1.09(95%CI=0.96-1.23)、高ばく露では1.16(95%CI=0.90-1.50)であった。【結論】今回の結果は、これまでの疫学研究と合わせて考えると、職場でのEMFによって、乳がんの危険性がわずかに上がる可能性があることを示している。

研究の目的(著者による)

電磁界への職業ばく露乳がんリスクを調査するため、米国において人口ベース症例対照研究を実施した。

詳細情報

ばく露は、潜在的な磁界発生源の強さ、発生源への職場の近接度、作業者が発生源に近接する職場にいる頻度に基づく、Coogan他による職業‐ばく露スキーム(publication 1912)に従って評価した。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (オッズ比(OR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 ばく露:バックグラウンド
集団 2 ばく露:低
集団 3 ばく露:中
集団 4 ばく露:高
集団 5 閉経前の女性、ばく露:バックグラウンド
集団 6 閉経前の女性、ばく露:低
集団 7 閉経前の女性、ばく露:中
集団 8 閉経前の女性、ばく露:高
集団 9 閉経後の女性、ばく露:バックグラウンド
集団 10 閉経後の女性、ばく露:低
集団 11 閉経後の女性、ばく露:中
集団 12 閉経後の女性、ばく露:高
集団 13 ばく露の潜在性が高い:コンピュータ・プログラマ
集団 14 ばく露の潜在性が高い:電気部品組立工
集団 15 ばく露の潜在性が中:簿記係
集団 16 ばく露の潜在性が中:データ入力係
集団 17 ばく露の潜在性が中:会計係
集団 18 ばく露の潜在性が中:電話オペレータ
集団 19 ばく露の潜在性が中:会計士
集団 20 ばく露の潜在性が中:給与計算係

調査対象集団

症例集団

対照集団

調査規模

症例 対照
適格者 8,066 10,161
参加者 6,429 7,683
参加率 80 % 76 %
評価可能 6,213 7,390
統計学的分析方法: (調整: )

結論(著者による)

参照グループと比較して、低、中及び高の職業ばく露について、統計的に有意ではない、乳がんの僅かなリスク上昇が認められた。データ入力係について、統計的に有意なリスク上昇が認められた。
著者らは、これらの知見を先行研究(publications 1912, 6826, 10719,
10081, 1048, 1060,
and 10438)とあわせて考えると、電磁界への職業ばく露乳がんリスクの僅かな上昇と関連しているかも知れないことが示唆される。

研究の限界(著者による)

職業データから正確なばく露評価を導出するのは困難である。

研究助成

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