研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[イン・ビトロのTリンパ球の接着能力に対する低い誘導値の50Hzの外部電磁界のインパクト] med./bio.

The impact of lower induction values of 50 Hz external electromagnetic fields on in vitro T lymphocyte adherence capabilities.

掲載誌: Electromagn Biol Med 2012; 31 (2): 166-177

この研究は、がん患者のTリンパ球インビトロでの表面付着能力の回復に必要な磁界ばく露レベルを調べた。研究の前提は、がん患者のTリンパ球インビトロでの表面付着能力は対照のそれよりも低いことが知られていること、さらに、著者らは以前の研究で、磁界(50 Hz / 0.01-10 mT)へのばく露により、喉頭/咽頭がん患者のTリンパ球インビトロでの表面付着能力が高まり、ほぼ生理学的な値が達成されたと報告したことを踏まえている。今回の実験には、20人のがん患者のサブセットを用いた。その結果、がん患者のTリンパ球インビトロでの表面付着能力には、0.01 mTばく露群と0.05 mTばく露群の間、および0.01 mTばく露群と0.1 mTばく露群の間の両方で、有意差があった;対照群慢性感音難聴と診断された患者のTリンパ球)でも、0.01 mTばく露群と0.05 mTばく露群の間に有意差があった;さらに、それぞれ0.5、0.1、および0.05 mTとの比較では1および10mTの磁界レベルにおいてようやく有意差が生じることが示されたことから、磁界レベルが低いほど、生物学的に有意性の高い応答が得られると結論される、と報告している。

研究目的(著者による)

ヒトTリンパ球接着能力に対する50Hz磁界ばく露の影響を調べること。

詳細情報

がん患者ではTリンパ球接着力が低下していることが知られている。細胞の接着能力の回復は、がん治療に有益かも知れない。

本研究は2つのパートで実施した。パート1では、2000-2008年に喉頭/咽頭扁平上皮がんの患者から合計265個の血液サンプルを採取し、これを分析した。血液サンプルを以下のグループに分けた:1) 0.05mT磁界ばく露(n=30)、2) 0.1mT(n=30)、3) 0.5mT(n=76)、4) 1mT(n=60)、5) 10mT(n=69)、6) 非ばく露(n=?)。加えて、ボランティア316人の血液サンプルを対照群として調べた。

パート2では、パート1での時間のファクターの可能性を排除するため、パート1のがん患者の一部から採取した更なる血液サンプルを同時に分析した。これらのサブグループにおいて以下のグループを調べた:7) 0.01mT磁界ばく露(n=20)、8) 0.05mT(n=20)、9) 0.1mT(n=20)、10) 非ばく露(n=?)。慢性感覚神経性難聴の患者30人の血液サンプルを対照群に用いた。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 45 min
ばく露2: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 45 min
ばく露3: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 45 min
ばく露4: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 45 min
ばく露5: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 45 min
ばく露6: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 45 min

ばく露1

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 continuous for 45 min
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
ばく露装置の詳細 33 cm high cylindrical coil with a diameter of 30 cm; test tubes placed at the center of the coil; the temperature during the experiment was 37°C; the non-homogeneity of the field within the test tube was in the vicinity of 1 %
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 0.01 mT - - - -

ばく露2

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 continuous for 45 min
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • E1と同じ装置
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 0.05 mT - - - -

ばく露3

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 continuous for 45 min
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • E1と同じ装置
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 0.1 mT - - - -

ばく露4

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 continuous for 45 min
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • E1と同じ装置
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 0.5 mT - - - -

ばく露5

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 continuous for 45 min
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • E1と同じ装置
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 1 mT - - - -

ばく露6

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 continuous for 45 min
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • E1と同じ装置
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 10 mT - - - -

Reference articles

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
調査の時期:
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

パート1では、グループ4及び5(1及び10mT)と比較して、非特異的抗原の添加後のグループ1-3(0.05-0.5mT)に、Tリンパ球接着能力の有意な増加が検出できた。同様に、腫瘍特異的抗原の添加後、グループ5と比較して、グループ1-3に有意な増加が見られた。全てのばく露群は、非ばく露細胞と比較して、接着能力の有意な増加を示した。

パート2では、両方の抗原の添加後、グループ9(0.1mT)と比較して、グループ7及び8(0.01及び0.05mT)に、接着能力の有意な増加が見られた。両方の抗原添加後、全てのばく露群(7-9)は、非ばく露細胞と比較して、接着能力の有意な上昇を示した。

対照群(非がん患者)の接着能力も、磁界ばく露によって上昇し、これは実験群よりも常に大きかった。

著者らは、磁束密度が低い50Hz磁界へのヒトTリンパ球ばく露は、接着能力を改善するかも知れないと結論付けている。

研究の種別:

研究助成

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