研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[モバイル通信と健康:ウェストミッドランズ郡サンドウェルで疑われるがんクラスターについての調査の報告] epidem.

Mobile telecommunications and health: report of an investigation into an alleged cancer cluster in Sandwell, West Midlands

掲載誌: Perspect Public Health 2012; 132 (6): 299-304

この研究は、2004年にウェスト・ミッドランズ(WM)州サンドウェルの1街区の住民が、携帯電話基地局の設置後にその地区でのがん発症数が多いとの懸念を訴えたことを受けて、統計学的な調査を行った。(英国の国営医療保健サービス(NHS)では、地域ごとにPrimary Care Trust (PCT)が組織され、NHSの利用者は自分の家庭医(GP)を登録してGPへの一次受診や相談が行われるため)、この調査は当該地域のPCTと州のがん情報部門(CIU)の協力により行われた。2004年の基本調査は、CIUから得た1974-2004年のこの街区のがん患者リストに基づき、生存している患者にPCTが連絡し、承諾を得て各患者のGPとがん専門医から詳細医療情報を得た。Ward(区;行政単位)レベルのがんの発症および死亡の3年間のデータを1993-5、1999-2001について取得し、2010年には追加的に2001-3、2002-4のデータを得た。その結果、当該街区では合計19人ががんを発症したが、基準に照らして、それががんクラスターである(期待値より多くの発症がある)とは認められなかった;全悪性新生物(非メラノーマ皮膚がんを除く)の標準化死亡率比(SMRs)はWM州の2001-3年と比較した場合、女性(1.38 (95%信頼区間1.08-1.74))と男女(1.27 (同1.06-1.51))で有意に高かったが、結腸直腸・女性の乳がん前立腺がんでは有意差がなかった;非メラノーマ皮膚がんの標準化発症率比(SIRs)はWM州の1999-2001年と比較した場合、男性および男女で有意に低く、2002-04年と比較した場合、男性、女性および男女で有意に低かった、などを報告している。

研究の目的(著者による)

疑われるがんクラスター携帯電話基地局との間にあるかも知れない関連を調べるため、英国のサンドウェルで調査を実施した。

詳細情報

3年毎の4つの期間:1993-1995年、1999-2001年、2001-2003年及び2002-2004年について、区レベルのがん発生率及び死亡率データを得た。携帯電話タワー及び基地局についての計画許可は1997年に取得した。当該設備は2001年にアップグレードされた。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 ウェスト・ミッドランズ郡の住民
集団 2 ウェスト・ミッドランズ群サンドウェルの基地局の近傍の通りの住民

調査対象集団

調査規模

タイプ
合計 19
参加者 18

結論(著者による)

合計19人の住民ががんを発症していた。がんの集積は、がんクラスターのクライテリア(例:がんの種類が1つだけ)を満たさなかった。
全ての悪性新生物黒色腫ではない皮膚がんを除く)についての標準化死亡率SMR)は、2001-2003年には女性(SMR 1.38;CI 1.08-1.74)及び全ての人々(SMR 1.27;CI 1.06-1.51)で、ウェスト・ミッドランズ郡よりも有意に高かった。結腸直腸がん乳がん及び前立腺がんについては、いずれの期間でも有意差はなかった。男性及び全ての人々での黒色腫ではない皮膚がんについての標準化発生率SMR)は、ウェスト・ミッドランズ郡よりも有意に低く、2002-2004年には全てのグループで有意に低かった。

著者らは、これらのがん携帯電話基地局のせいであるとは結論付けられなかった。単一の基地局の周辺での情報が因果関係を立証または排除し得るということはなさそうである。

研究助成

関連論文