この研究は、携帯電話基地局から300m以内の居住者(近傍居住者群n=63)および遠方の居住者(対照群n=28)から採取した末梢血白血球の遺伝損傷をコメットアッセイで評価し、比較した。対照群は、近傍居住者群と性別、年齢、飲酒、職種をマッチさせたと記載している。結果として、近傍居住者群では対照群に比べ、DNA移動長さ、損傷頻度などが有意に上昇した、などの所見を報告している。
グループ | 説明 |
---|---|
参照集団 1 | 携帯電話基地局の近くに住んでいない:非ばく露 |
集団 2 | 住居から基地局までの距離: 50 - 100 m |
集団 3 | 住居から基地局までの距離: 101 - 150 m |
集団 4 | 住居から基地局までの距離: 151 - 200 m |
集団 5 | 住居から基地局までの距離: 201 - 250 m |
集団 6 | 住居から基地局までの距離: 251 - 300 m |
集団 7 | 基地局の近傍での居住期間: 4 - 7年 |
集団 8 | 基地局の近傍での居住期間: 8 -11年 |
集団 9 | 携帯電話使用:なし |
集団 10 | 携帯電話使用:あり |
集団 11 | 携帯電話使用: ≤ 5年 |
集団 12 | 携帯電話使用: > 5年 |
集団 13 | 携帯電話使用: ≤ 3時間/日 |
集団 14 | 携帯電話使用: > 3時間/日 |
タイプ | 値 |
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合計 | 91 |
研究参加者91人のうち、63人が携帯電話基地局から300m以内の人口密集地に住み(ばく露群、本研究では「症例」と呼ぶ)、28人の参加者は近くに基地局がない過疎地に住んでいた(非ばく露群、本研究では「対照」と呼ぶ)。
両群では携帯電話使用に有意差が認められた:ばく露群の98.4%は携帯電話ユーザー(平均期間4年)で、非ばく露群では28.6%(平均期間0.3年)であった。加えて、平均的な日常の携帯電話使用は、ばく露群で2時間、非ばく露群で0.5時間であった。食事パターン、喫煙習慣及び体調不良について、両群で更なる有意差が認められた。
基地局の近くの住居(ばく露群)での電力密度の測定値は7.6-14.59W/m²(平均11.49W/m²)で、非ばく露群をサンプル抽出した地域では有意に低かった(0.001-0.1W/m²;平均0.045W/m²)。
ばく露群(グループ2-6)の遺伝的損傷のパラメータ(DNA移動距離、損傷頻度及び損傷尺度)は、非ばく露群(グループ1)と比較して有意に上昇した。ばく露群の女性住民(n=25)は男性住民(n=38)と比較して損傷頻度が有意に高く、DNA移動距離及び損傷尺度については差は認められなかった。日常的な携帯電話使用、住居の場所及び電力密度が、遺伝的損傷の有意な予測因子であることが認められた。
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