研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[心臓血管系に対する電磁界ばく露の影響力] med./bio.

Influence of exposure to electromagnetic field on the cardiovascular system

掲載誌: Auton Autacoid Pharmacol 2005; 25 (1): 17-23

1 我々は、超低周波電磁界(ELF-EMF)が、心臓血管パラメーターの基礎レベルと、交感神経系に対する薬物作用に影響するかどうかを調査した。2 オスのラットが、1日間(MF-1)あるいは5日間(MF-5)EMFをばく露され、他に偽ばく露対照ラットもおかれた。我々は、血圧(BP)、脈圧(PP)および心拍数(HR)の変化、心電図のPR間隔、QRS間隔およびQT間隔、基礎レベルにおけるリズム障害比、β-アドレナリン受容体作用薬によって引き起こされたリズム障害を見積もった。3 基礎レベルに関して、PR間隔、QRS間隔、平均BP、HRおよびPPにおける偽ばく露対照、MF-1およびMF-5の間で、統計的に有意な差異はなかった。しかし、心室再分極を表すQT間隔は、MF-1(P<0.05)によって著しく減少した。4 (-)ドブタミン(β-アドレナリン受容体-選択的作用薬)に誘発された頻脈は、HR(ΔHR)における増加、QRS間隔(ΔQRS)における減少およびQT間隔(ΔQT)における減少に対して、MF-1におけるELF-EMFばく露によって著しく抑えられた。アドレナリン(非選択的β受容体作用薬)に誘発されたリズム障害も、欠けた心拍数、リズム障害比、およびBPとPPにおける増加に対して、MF-1におけるELF-EMFばく露によって著しく抑えられた。5 これらの結果が示唆したのは、ELF-EMF(60Hz、20G)への1日ばく露は、心室再分極に影響することによってHRの増加を抑えることができ、また、交感神経作用薬によって誘発された心臓血管系の反応に対して下方調整効果を有するかもしれないということである。

研究目的(著者による)

超低周波電磁界心臓血管系パラメータの基底レベル及び交感神経系に作用する薬物の影響力に影響を及ぼすかどうかを調べること。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 60 Hz
ばく露時間: continuous for 1 day
ばく露2: 60 Hz
ばく露時間: continuous for 5 day

ばく露1

主たる特性
周波数 60 Hz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • unspecified
ばく露時間 continuous for 1 day
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 2 mT unspecified 指定なし - -

ばく露2

主たる特性
周波数 60 Hz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • unspecified
ばく露時間 continuous for 5 day
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 2 mT unspecified 指定なし - -

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
研究対象とした臓器系:
調査の時期:
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

基底レベルに関しては、対照群電磁界ばく露群で、PR間隔、QRS群間隔、平均血圧心拍及びパルス圧に統計的有意差はなかった。但し、心室再分極を示すQT間隔は、1日の電磁界ばく露によって有意に低下した。

(-)-ドブタミン(ベータ1-アドレナリン受容体選択的作用薬)による頻脈は、1日ばく露群において超低周波電磁界ばく露によって有意に抑制された。アドレナリン(非選択的ベータ受容体作用薬)による律動異常も、1日ばく露群において超低周波電磁界ばく露によって有意に抑制された。

これらのデータは、超低周波電磁界への1日ばく露心室再分極に影響することで心拍の上昇を抑制し得ること、及び、交感神経作用薬によって生じる心臓血管系の応答に対する下方制御作用を有するかも知れないことを示した。

研究の種別:

研究助成

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