研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[エックス線または電磁界(50Hz)及び熱によって生じたストレスへの応答の比較:ヒトの細胞での熱ショック遺伝子の誘導及び細胞周期への影響] med./bio.

Comparison of the reactions to stress produced by X-rays or electromagnetic fields (50Hz) and heat: induction of heat shock genes and cell cycle effects in human cells

掲載誌: J Appl Biomed 2003; 1 (2): 85-93

この研究は、ヒトHL-60白血病細胞に、放射線(200kV X線、5 Gy)、超低周波磁界(ELF-EMF、50 Hz、60 ± 0.2 μT)および/または熱ショック(HS、41 °Cの温熱に30分間)のばく露を与え、熱ショック遺伝子HSP27、HSP60、HSP70、HSP75、HSP78、HSP90)の発現への影響をRT-PCR検査により評価した。さらに、この3つのストレッサーが、指数関数的および非同期的に増殖する細胞培養における細胞周期進行に与える影響をフローサイトメトリーにより評価した。連続する細胞周期中の細胞分裂動態を、カルボキシフルオレセイン・スクシンイミジルエステル(CFSE)で細胞を蛍光標識してモニタした。最後に、ヨウ化プロピジウム(PI)染色により、細胞周期の分布を調べた。その結果、HSP遺伝子発現に関して、3つのストレッサーは同様の効果を生じさせた;ストレッサーの組み合わせ(ELF-EMFとHSまたは放射線とHS)は、各ストレッサー単独での誘導レベルを上回るほど強く、HSP70遺伝子転写誘導した;細胞周期分析では、各ストレッサーに対する細胞応答の著しい違いが示された;特に興味深いのは、熱ショックばく露を受けた細胞において、ELFEMFが熱の影響からの保護効果を示したことである;熱ストレスの存在下でX線ばく露を受けた細胞では、このような保護効果は見られなかった、と報告している。

研究目的(著者による)

ストレス因子のエックス線、超低周波磁界及び/または熱ショックに対する細胞の応答をヒトの白血病細胞株で分析すること。

詳細情報

細胞を以下の条件にばく露した:
1) エックス線(5Gy、線量率1.2Gy/分)、2) 熱ショック(41℃で30分間)、3) 磁界、4) エックス線+熱ショック、5) 磁界+熱ショック、6) エックス線+磁界、7) 対照群

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 30 min.

General information

cells were treated with 1) X-rays 2) heat shock 3) 50 Hz EMF 4) X-rays + heat shock 5) 50 Hz EMF + heat shock 6) X-rays + 50 Hz EMF

ばく露1

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 continuous for 30 min.
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
ばく露装置の詳細 1800 mm x 1400 mm x 600 mm plastic chamber placed in the center of the set of Merritt coils
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 60 µT - 測定値 - ± 0.2 µT

Reference articles

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
調査の時期:
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

エックス線及び熱ショックは対照群と比較して、細胞増殖及び細胞周期分布に有意に影響力を及ぼしたが、磁界ばく露した細胞培地ではこれらのパラメータは有意に変わらなかった。磁界ばく露と熱ショックの組合せは、熱ショックによる影響を緩和した。但し、エックス線と磁界の組合せではそのような防護作用は認められなかった。

熱ショック処理単独、ならびにエックス線及び磁界との組み合わせは、対照群細胞培地と比較して、HSP27HSP70、HSP75、HSP78のタンパク質発現のレベルの有意な上昇につながったが、磁界ばく露単独ではHSP70の発現のみが有意に上昇した。

著者らは、超低周波磁界はヒト白血病細胞株でのHSP70のタンパク質発現のレベルを変化させ得るが、細胞増殖及び細胞周期には影響力を及ぼさない、と結論付けている。更に、熱ショック細胞では磁界の防護作用が認められたが、エックス線照射細胞では認められなかった。

研究の種別:

研究助成

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