研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[アポトーシス細胞の数に対するELF-EMFの効果:活性酸素種およびHSPとの相関] med./bio.

Effect of ELF-EMF on number of apoptotic cells; correlation with reactive oxygen species and HSP

掲載誌: Acta Biol Hung 2010; 61 (2): 158-167

この研究は、酸化ストレス(H2O2処理)を与えられた細胞誘導されるアポトーシスに対する超低周波電磁界ELF-EMF(0-300 Hzばく露の影響を調べた。また、この影響と熱ショックタンパク質70(hsp70)レベルとの関係も調べた。K562ヒト白血病細胞株の一方のサンプルはH2O2処理され、もう一方のサンプルは未処理のままにした。両方の細胞にELF-EMF(1 mT、50 Hz)の3時間ばく露を与えたのち、アポトーシス細胞の数、hsp70と活性酸素種ROS)のレベルを計測した。その結果、ELF-EMF単独ばく露の場合、アポトーシス細胞の数が減少し、生存率がわずかに上昇した;H2O2処理細胞へのELF-EMFばく露の場合、アポトーシス細胞の数が増加した;一方、ELF-EMばく露により、hsp70と活性酸素種ROS)レベルは上昇した;以上の知見は、ELF-EMFの効果が細胞の状態に依存することを示しており、酸化ストレスのない細胞では、hspレベルの増加を誘導することでアポトーシス細胞の数を減少させ、酸化ストレス誘発細胞ではアポトーシス細胞の数を上昇させることが示された、と報告している。

研究目的(著者による)

酸化ストレスばく露開始時に過酸化水素誘導)にさらした/さらさなかったK562細胞株アポトーシス細胞の数に対する、超低周波電磁界の影響を調べ、そのデータを熱ショックタンパク質及び活性酸素種のレベルと相関させること。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 3 hr

General information

cells were treated in four groups: i) control ii) EMF expsoure iii) H2O2 treatment iv) H2O2 treatment + EMF exposure

ばく露1

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
ばく露時間 continuous for 3 hr
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
ばく露装置の詳細 two 10 cm high solenoids with a diameter of 25 cm and 400 turns of copper wire each connected in series; cells kept in a 20 cm x 15 cm x 10 cm plastic chamber with constant temperature during exposure;
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 1 mT - 測定値 - -

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
調査の時期:
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

K562細胞過酸化水素で単独処理したところ、アポトーシス細胞の比率は約70%増加し、細胞の生存能力は低下した。過酸化水素で処理した細胞超低周波電磁界ばく露したところ、アポトーシス細胞の数の更なる増加が認められた。このことは、電磁界が共ストレス因子として作用したことを示している。同様に、超低周波電磁界ばく露は、過酸化水素で処理した細胞の生存能力に僅かな低下を生じた。

電磁界ばく露細胞では(対照と比較して)活性酸素種のレベルに30%上昇が認められた。この上昇は、過酸化水素単独で誘導した上昇よりも大きかった。電磁界ばく露は、過酸化水素で単独処理した細胞における活性酸素種のレベルに、過酸化水素単独処理と比較して僅かな上昇を生じた(但し、この上昇は電磁界単独で生じたものより高くなかった)。これらのデータは、超低周波電磁界ばく露過酸化水素と相乗的には作用しなかったことを示している。

加えて、過酸化水素で処理した細胞への超低周波電磁界ばく露により、過酸化水素で単独処理した細胞と比較して、hsp70の発現有意な上昇が認められた。但し、電磁界に単独ばく露した細胞と比較して統計的に有意ではなかった。

研究の種別:

研究助成

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