研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[子どもの携帯電話使用、血中鉛レベル、及び注意欠陥多動性障害:縦断的研究] epidem.

Mobile phone use, blood lead levels, and attention deficit hyperactivity symptoms in children: a longitudinal study.

掲載誌: PLoS One 2013; 8 (3): e59742

この研究は、子供の携帯電話使用と注意欠陥・多動性障害(ADHD)の関連を、鉛ばく露による修飾を考慮しつつ調べた。韓国の10都市の27つの小学校の2422人の児童を調査し(2006年)、その2年後にフォローアップ調査した(2008年)。両親または保護者に、ADHD評価スケール韓国版、携帯電話の使用および社会人口学的要因に関する質問票への記入をさせ、また児童の血中鉛レベルを調べた。その結果、ADHDの症状携帯電話の通話使用に関連がみられたが、その関連は比較的鉛ばく露が高い児童に限って見られた、と報告している。なお、この研究は、韓国の子供の健康と環境の調査(CHEER;2005-2010)の一環として実施された。

研究の目的(著者による)

携帯電話使用と注意欠陥多動性障害ADHD)の症状との関連を調査するため、鉛ばく露の修飾効果を考慮して、韓国においてコホート研究を実施した。

詳細情報

比較的低いレベルの鉛にばく露された子どもは不注意認知喪失を有し、ADHDを発症することがあるため、共ばく露として血中鉛レベルを調査した。
子どもの症状を評価するため、2008年及び2010年に親または保護者にADHD評定尺度の韓国語版(K-ARS)を提供した。18の質問について0-3の評定(症状の重症度に依存)を用いて、結果を合計した。スコアの合計が ≥ 19を、ADHD症状が陽性と見なした。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (オッズ比(OR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 携帯電話の所有:なし
集団 2 携帯電話の所有:あり
参照集団 3 携帯電話の最初の所有時の年齢: ≥ 11歳
集団 4 携帯電話の最初の所有時の年齢: 10歳
集団 5 携帯電話の最初の所有時の年齢: 9歳
集団 6 携帯電話の最初の所有時の年齢: 8歳以下
参照集団 7 1日当たりのテキストメッセージ送信件数:使用なし
集団 8 1日当たりのテキストメッセージ送信件数: 1-2
集団 9 1日当たりのテキストメッセージ送信件数: ≥ 3
参照集団 10 1日当たりの発信通話件数:使用なし
集団 11 1日当たりの発信通話件数: 1-2
集団 12 1日当たりの発信通話件数: ≥ 3
参照集団 13 音声通話1件当たりに費やす平均時間:使用なし
集団 14 音声通話1件当たりに費やす平均時間: < 30秒
集団 15 音声通話1件当たりに費やす平均時間: 30秒- < 1分
集団 16 音声通話1件当たりに費やす平均時間: ≥ 1分
参照集団 17 音声通話についての累積時間: 0時間
集団 18 音声通話についての累積時間: < 30時間
集団 19 音声通話についての累積時間: 30- < 70時間
集団 20 音声通話についての累積時間: ≥ 70時間
参照集団 21 携帯電話でのゲーム1日当たりに費やす平均時間:使用なし
集団 22 携帯電話でのゲーム1日当たりに費やす平均時間: 1-2分
集団 23 携帯電話でのゲーム1日当たりに費やす平均時間: ≥ 3分
参照集団 24 携帯電話でのインターネット使用:なし
集団 25 携帯電話でのインターネット使用:あり

調査対象集団

調査規模

タイプ
参加者 2,516
評価可能 2,422
その他:

2008年及び2010年の携帯電話使用についてのアンケートの回答が不完全、または血中鉛測定がない子どもを除外

統計学的分析方法: ( 調整: )

結論(著者による)

携帯電話の所有は2年間で約3倍(2008年には22.7% vs. 2010年には64.5%)、音声通話のための累積使用時間は約2倍(2008年には1.36時間 vs. 2010年には2.33時間)に増加した。血中鉛レベルの幾何平均は2年間で僅かに減少した(2008年には1.64 µg/dl vs. 2010年には1.60 µg/dl)。本研究におけるADHDの症状有病率は、2008年には10.4%、2010年には8.4%であった。

ADHDの症状リスクは音声通話のための携帯電話使用と関連していたが、この関連は比較的高い鉛にばく露された子どもに限定された。著者らは、鉛と携帯電話使用からのRFへの同時ばく露が、ADHDの症状リスク上昇と関連している、と結論付けたが、逆因果関係の可能性も排除できなかった。

研究助成

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