研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[子ども及び思春期層におけるドシメトリで評価した無線周波電磁界へのばく露と急性症状との関連:人口ベースの横断的研究] epidem.

Association between exposure to radiofrequency electromagnetic fields assessed by dosimetry and acute symptoms in children and adolescents: a population based cross-sectional study.

掲載誌: Environ Health 2010; 9 (1): 75-1-75-9

この研究は、小児および思春期層における携帯電話使用と急性症状との関連に関する横断調査である。2006-2008年にドイツにおける人口ベースの横断調査(小児1484名、青少年1508名(参加率52%)において、24時間のばく露プロファイルを取得した。社会人口学的特性、自己報告のばく露量、潜在的な交絡因子などのデータを個人面接で収集した。症状日誌を付けてもらい、調査日に2回(正午と夕方)症状を評価した。その結果、多くの関連可能性を検討したが、統計的に有意なものはわずかであった;午前のばく露測定値が最高の四分位数にあった思春期層では、正午における「頭痛」が統計的に有意に高かった(オッズ比OR:1.50、95%信頼区間(CI):1.03-2.19);午後のばく露測定値が最高の四分位数にあった思春期層では、夕方における「苛立ち」が統計的に有意に高かった(OR=1.79、95%CI:1.23-2.61)一方、同様の小児では夕方における「集中力低下」が統計学的に有意に高かった(OR=1.55、95%CI:1.02-2.33)などがみられたが、統計的に有意な結果はわずかであり、しかもそれらは2つの時点で一致していないので、これらは因果関係ではなく、むしろ偶然生じたものだと考えられる、と報告している。

研究の目的(著者による)

子ども及び思春期層における無線周波電磁界へのばく露と急性症状との間にあるかも知れない関連を調査するため、ドイツにおいて横断的研究を実施した。

詳細情報

24時間の測定中、症状の日誌を用いて急性症状を2回評価した。同じ研究人口の行動学的問題は Thomas他(2010)、慢性症状Heinrich他(2011)で分析している。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (オッズ比(OR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 午前中に測定したばく露が第1四分位の子ども
集団 2 午前中に測定したばく露が第2四分位の子ども
集団 3 午前中に測定したばく露が第3四分位の子ども
集団 4 午前中に測定したばく露が第4四分位の子ども
参照集団 5 午前中の携帯電話使用が ≤ 5分の子ども
集団 6 午前中の携帯電話使用が > 5分の子ども
参照集団 7 午後に測定したばく露が第1四分位の子ども
集団 8 午後に測定したばく露が第2四分位の子ども
集団 9 午後に測定したばく露が第3四分位の子ども
集団 10 午後に測定したばく露が第4四分位の子ども
参照集団 11 午後の携帯電話使用が ≤ 5分の子ども
集団 12 午後の携帯電話使用が > 5分の子ども
参照集団 13 午前中に測定したばく露が第1四分位の思春期層
集団 14 午前中に測定したばく露が第2四分位の思春期層
集団 15 午前中に測定したばく露が第3四分位の思春期層
集団 16 午前中に測定したばく露が第4四分位の思春期層
参照集団 17 午前中の携帯電話使用が ≤ 5分の思春期層
集団 18 午前中の携帯電話使用が > 5分の思春期層
参照集団 19 午後に測定したばく露が第1四分位の思春期層
集団 20 午後に測定したばく露が第2四分位の思春期層
集団 21 午後に測定したばく露が第3四分位の思春期層
集団 22 午後に測定したばく露が第4四分位の思春期層
参照集団 23 午後の携帯電話使用が ≤ 5分の思春期層
集団 24 午後の携帯電話使用が > 5分の思春期層

調査対象集団

調査規模

タイプ
適格者 5,870
参加者 3,022
参加率 52 %
その他:

子ども1498人及び思春期層1524人がインタビュー及びばく露測定に参加した

統計学的分析方法: ( 調整: )

結論(著者による)

測定した無線周波電磁界へのばく露は全体として非常に低く、覚醒時には平均でICNIRPの参考レベルの0.13%-0.92%の範囲であった。子どもの2%及び思春期層の14%が携帯電話を午後に5分を超えて使用していた。
調査した多数の関連のうち、少数のみが統計的に有意であったが、2つの時点を通じて一貫していなかった。午前に測定したばく露が最も高い四分位であった思春期層は正午に、統計的に有意に高い強度の頭痛を報告した(OR 1.50、CI 1.03-2.19)。午後に測定したばく露が最も高い四分位であった思春期層は就寝時、統計的に有意に高い強度の夕方の神経過敏を報告し(OR 1.79、CI 1.23-2.61)、子どもは統計的に有意に高い強度の集中力の問題を報告した(OR 1.55、CI 1.02- 2.33)。ばく露が最も高い10%の参加者についてのサブグループ分析では、主たる分析における有意な結果は再現できなかった。
著者らは、認められた少数の有意な関連は因果関係ではなく、偶然によるものであると推測している。

研究助成

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