研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[EGF受容体クラスタリングは0.4 mT電力周波数磁界によって誘発され、EGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤PD153035によって阻害される] med./bio.

EGF receptor clustering is induced by a 0.4 mT power frequency magnetic field and blocked by the EGF receptor tyrosine kinase inhibitor PD153035

掲載誌: Bioelectromagnetics 2007; 28 (3): 197-207

原子間力顕微鏡法(AFM)、透過電子顕微鏡法(TEM)、共焦点レーザー走査顕微鏡法を使用して、50Hz 0.4mT磁界(MF)がチャイニーズハムスター肺(CHL)の細胞膜の精製された表皮成長因子受容体(EGFRs)とEGFRsのグラスタリングに及ぼす影響を調査した。結果は、MFに30分ばく露した精製EGFRsは受容体クラスタリングを誘発することを明らかにした。明白なクラスターのピーク高さは、1.42±0.18nm(擬似ばく露)から3.08±0.38nm(ばくばく露)に上昇し、一方、平均半幅は、21.7±2.2nmから33.4±4.0nmに上昇した。同様の影響がTEMでも確認された。精製EGFRをPD153035(PD)、EGFR特有のチロシンキナーゼ(TK)阻害剤で処理した場合、精製タンパク質のMF誘導EGFRクラスタリングを阻害し、EGFの無い細胞膜受容体でも影響が確認された。これらの結果は、50Hz 0.4mTのMFが、おそらくは細胞質のTK領域との相互作用によって、EGFRの情報伝達経路を阻害することを強く示唆している。

研究目的(著者による)

50Hz、0.4mTの磁界膜受容体上皮成長因子受容体との機能的相互作用を、主に分子レベルで調べること。

詳細情報

上皮成長因子受容体(EGFR)は膜貫通糖タンパク質で、多くのタイプの哺乳類細胞表面発現する。EGFRモノマーにはチロシンキナーゼのある細胞間ドメインが含まれ、これはEGFRの活性化をブロックし、細胞シグナル伝達経路を妨げる、EGFRチロシンキナーゼ特異的阻害剤PD153035によって個別に阻害される。
精製したEGFR(5mg/ml)または細胞を以下の3群に分けた:1) 偽ばく露群、2) 磁界ばく露群、3) 異なる濃度のPD阻害剤での前処理群。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 30 min

ばく露1

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 continuous for 30 min
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • a pair of circular horizontal Helmholtz coils, 20 cm radius, 20 cm gap between them, 150 turns
ばく露装置の詳細 The magnetic field was fairly uniform (± 0.012 mT) over the exposure area between the plates. The whole set-up was placed in a CO2 incubator maintained at 37°C and was shield from external field.
Sham exposure A sham exposure was conducted.
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 0.4 mT unspecified 測定値 - -

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
調査の時期:
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

データは、精製したEGFR受容体が、細胞膜及びEGF結合から離れてクラスターを形成する(即ち、少なくとも2つのモノマーがクラスターを形成する)のを、磁界ばく露誘導することを示した。EGFRチロシンキナーゼ阻害剤は明らかに、リガンドフリーのクラスタリング作用をブロックする。
この知見は、EGFRのチロシンキナーゼドメインが、磁界との相互作用の候補部位であろうということを示している。

研究の種別:

研究助成

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