研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[電磁界によるストレスタンパク質hsp70の誘導による心筋機能の改善] med./bio.

Myocardial function improved by electromagnetic field induction of stress protein hsp70

掲載誌: J Cell Physiol 2008; 216 (3): 816-823

この研究は、EMFの事前ばく露とそれによるストレスタンパク質hsp70誘導が引き起こす血行動態の変化が、虚血灌流(I-R)損傷後の心筋機能の改善を引き起こすか否かをSprague-Dawleyラットで実験的に検討した。I-Rの前にラットに30分間のEMF(60 Hz、8 μT)ばく露を与えた。その後、左前下行冠状動脈(LAD)を30分間結紮して虚血を生じさせ、その後30分間再灌流した。血液および心臓組織でのhsp70レベルを、ウエスタンブロットおよびrtPCRによるRNA転写によって測定した。その結果、EMFの事前ばく露に反応したHSP70遺伝子有意な増加およびhsp70レベル上昇が測定された;容積測定用コンダクタンスカテーテルを使用して侵襲的に測定された血行動態から、EMFばく露後の再灌流の30分後における収縮機能の有意な回復が明らかにされた;さらに、心室拡張機能の尺度である等容性弛緩も、EMF処理されたラットにおいて著しい改善が示された、と報告している。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 60 Hz
ばく露時間: continuous for 30 min

ばく露1

主たる特性
周波数 60 Hz
タイプ
  • magnetic field
ばく露時間 continuous for 30 min
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
ばく露装置の詳細 16 cm x 24 cm plastic exposure cage surrounded by Helmholtz coils; coils consisting of 164 turns of 1.5 inches thick 19 gauge copper wire covered with electrical tape
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 8 µT - 測定値 - -

Reference articles

  • Goodman R et al. (1998): [磁界ストレスはhsp70の発現を誘発する]
  • Jin M et al. (1997): [60 Hz電磁界にばく露されたHL60細胞でのmyc発現における生物学的及び工学的変数]
  • Wei LX et al. (1990): [低周波正弦波電磁界への細胞のばく露後のc-mycとヒストンH2Bのレベルの変化:ウインドウ効果の証拠]

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
研究対象とした臓器系:
調査の時期:
  • ばく露前
  • ばく露中
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

電磁界への事前ばく露に対し、HSP70遺伝子有意な上方制御、及びhsp70レベルの上昇が測定された。血行動態は、電磁界ばく露後の30分間の再灌流後に収縮収縮機能の有意な回復を示した。電磁界ばく露群では心室拡張機能が顕著に改善された。
非侵襲性の電磁界によるhsp70の誘導は、心筋機能を保護し、虚血損傷への耐性を改善する潜在能力があるかも知れない。

研究の種別:

研究助成

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