研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[ラット骨芽細胞の増殖、分化およびミネラル化ポテンシャルに対する、異なる強度の50Hz正弦波電磁界の影響] med./bio.

Effects of 50 Hz sinusoidal electromagnetic fields of different intensities on proliferation, differentiation and mineralization potentials of rat osteoblasts

掲載誌: Bone 2011; 49 (4): 753-761

この研究は、骨粗鬆症を遅らせ、骨折の治癒を促進することを目的に臨床応用されている電磁界EMF)について、その作用メカニズムと最適なパラメータを検討するために、ラット骨芽細胞を用いた実験を行った。新生仔ラットから単離された骨芽細胞に、50 Hz正弦波電磁界ばく露を、さまざまな磁束密度(0.9 - 4.8 mTの範囲で0.3 mT刻み)とばく露時間(1日30分間で、最大15日間、または連続で12、24、96時間の単回ばく露)で与え、骨芽細胞増殖分化、および石灰化への影響を調べた。比較のために未処理対照群を用いた。その結果、3日間の磁界ばく露群において、対照群に比べ、骨芽細胞増殖抑制された;9日間ばく露群において、アルカリホスファターゼ(ALP)活性がばく露レベルに応じて変化した(0.9 mTから1.8 mTでは増加、1.8 mTから3.0 mTでは減少、その後3.0 mTから3.6 mTで再び増加、3.6mTから4.8mTで再び減少した); 8日間ばく露群でのALP陽性染色されたコロニーの数、および10日間ばく露群でのアリザリンレッド染色された石灰化結節が、ALP活性と同様の二峰性の傾向を示し、1.8mTと3.6mTに2つの増加のピークがあらわれた;12、24、および96時間ばく露後の骨芽細胞において、Runx-2、Col1alpha2、およびBmp-2mRNA発現レベルが二峰性の増加を示した、と報告している。

研究目的(著者による)

ラット骨芽細胞細胞増殖分化及びミネラル化ポテンシャルに対する、異なる期間及び異なる強度の50Hz正弦波電磁界処理の影響を調べること。

詳細情報

骨芽細胞(初代細胞)は新生ラット頭蓋骨から単離した。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 30 min/day for up to 15 days (see add. information)
  • 磁束密度: 4.8 mT maximum (0.9, 1.2, 1.5, 1.8, 2.1, 2.4, 2.7, 3.0, 3.3, 3.6, 3.9, 4.2, 4.5, 4.8 mT)
  • 磁束密度: 0.9 mT minimum
ばく露2: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 0, 12, 24, 96 h
  • 磁束密度: 4.8 mT maximum (0.9, 1.2, 1.5, 1.8, 2.1, 2.4, 2.7, 3.0, 3.3, 3.6, 3.9, 4.2, 4.5, 4.8 mT)

ばく露1

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 continuous for 30 min/day for up to 15 days (see add. information)
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
ばく露装置の詳細 solenoid consisting of three cascade connected coils with an acrylic tube (inner diameter = 18 cm, height = 21 cm) as a common core; the number of windings of enamel copper wire in the middle coil was less than those in the bilateral coils; field homogeneous within 1% for an area of 30 mm to -30 mm from the horizontal and 20 mm to -20 mm from the vertical axis; solenoid positioned in an incubator at 37°C with 5 % CO2 and 100 % humidity; osteoblasts placed in 60 mm culture dishes inside the solenoid
Sham exposure A sham exposure was conducted.
Additional information t = 30 min/day for 3 days - for MTT assay t = 30 min/day for 3, 6, 9, 12 or 15 days - for alkaline phosphatase (ALP) activity t = 30 min/day for 8 days - for ALP histochemical staining t = 30 min/day for 10 days - for Alizarin red staining t = 30 min/day for 5, 8 or 10 days - for morphology of osteoblasts
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 4.8 mT maximum - - 0.9, 1.2, 1.5, 1.8, 2.1, 2.4, 2.7, 3.0, 3.3, 3.6, 3.9, 4.2, 4.5, 4.8 mT
磁束密度 0.9 mT minimum - - -

ばく露2

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 continuous for 0, 12, 24, 96 h
Additional information RT-PCR
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • E1と同じ装置
Sham exposure A sham exposure was conducted.
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 4.8 mT maximum - - 0.9, 1.2, 1.5, 1.8, 2.1, 2.4, 2.7, 3.0, 3.3, 3.6, 3.9, 4.2, 4.5, 4.8 mT

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
調査の時期:
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

正弦波電磁界ばく露は非処理対照と比較して、骨芽細胞増殖抑制した(3日間のばく露後;量-反応影響はなかった)が、アルカリホスファターゼ酵素活性を0.9mT-1.8mTで上昇、1.8mT-3mTで低下、3mT-3.6mTで再び上昇、3.6mT-4.8mTで再び低下させた(9日間のばく露後)。8日後のアルカリホスファターゼ陽性に染色したコロニーの数、及び10日後にミネラル化した結節の数は、アルカリホスファターゼ酵素活性と同じ二峰性の傾向を示し、その2つのピークは1.8mTと3.6mTであった。

正弦波電磁界は、ばく露の12、24、及び96時間後の異なる遺伝子発現のレベルにも、二峰性の上昇を生じた。

このデータは、50Hz正弦波電磁界へのばく露骨芽細胞増殖抑制する一方、1.8mT及び3.6mTでピーク活性となる強度依存的な形で、骨芽細胞分化及びミネラル化ポテンシャルを有意にプロモートすることを示した。

研究の種別:

研究助成

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