研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[異なる細胞株の構造及び機能に対する正弦波電磁界の影響] med./bio.

Effects of sinusoidal electromagnetic field on structure and function of different kinds of cell lines

掲載誌: Yonsei Med J 2006; 47 (6): 852-861

本研究は、2mT, 60Hzの電磁界EMF)が細胞の構造と機能を変化させるかどうかを調べた。4つの細胞株:hFOB 1.19、T/G HA-VSMC、RPMI 7666とHCN-2でEMFの影響を比較した。14日間、細胞をEMFに1日当たり1、3、16時間ばく露させた。結果として、EMFばく露への応答は細胞特異性が見られた。加えて、細胞の応答は、EMFばく露期間に依存していた。本研究では、細胞繁殖はEMFに最も敏感な特徴であることが示されている。hFOB 1.19 とHCN-2を培養7,14日に対照細胞と比較した。ばく露が3時間/日の場合、EMFはRPMI7666の繁殖を増加させたが、T/G HA- VSMCは抑制した。一方、細胞周期細胞分化アクチンの分布へのEMFの影響は、明確ではなかった。さらに、EMFばく露細胞間伝達のギャップ接合との関係は、hFOB 1.19では殆ど見られなかった。このような結果から、EMFは細胞分化を操作するツールとして使える可能性がある。

研究目的(著者による)

4種類のヒト細胞株の構造及び機能に対する、2mT、60Hzの正弦波電磁界の影響をイン・ビトロで調べること。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 60 Hz
ばく露時間: 1, 3, 6 h/day for 7 or 14 days

ばく露1

主たる特性
周波数 60 Hz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 1, 3, 6 h/day for 7 or 14 days
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
ばく露装置の詳細 solenoid coil (inner diameter 20 cm, height 24 cm) placed in an incubator; cells placed coaxially with the center-line in the central area of the coils; EMF perpendicular to the cell plates.
Sham exposure A sham exposure was conducted.
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 2 mT - 測定値 - deviation < 3%

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
調査の時期:
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

得られたデータは、電磁界ばく露に対する細胞のタイプに固有の応答を示した。加えて、細胞応答はばく露時間に依存していた。
インキュベーション7日目及び14日目の対照群と比較して、電磁界処理はヒト胎児骨芽細胞及びヒト皮質神経細胞の成長を促進した。ばく露時間が3時間/日の場合、Bリンパ芽球増殖は増加したが、平滑筋細胞増殖は減少した。
他方、細胞周期分布、細胞分化細胞のアクチンフィラメント分布に対する電磁界の影響は依然として不明である。更に、ギャップ結合細胞間情報伝達に対する電磁界ばく露の影響は認められなかった。

研究の種別:

研究助成

関連論文